
姫路城は行く価値がある? 中が空っぽなのは博物館ではなく木造の現存天守だから
姫路城と聞いて思い浮かぶのは、丘の上にそびえる白い天守の写真でしょう。中に入れば、ガラスケースに並んだ甲冑や絵の描かれた屏風、城主の暮らしぶりを再現した部屋があるはず。そんな博物館のような姿を思い浮かべる人もいるでしょう。実際には、入口で靴を脱ぎ、急な木の階段を上っていきます。少し息が上がったころに最上階に着くと、そこにあるのはむき出しの木材と、窓の外の眺めです。中には何もなかった、と思いながら城をあとにする人もいます。
集めた声を見るかぎり、姫路城は行く価値があります。がっかりの中でいちばん避けやすいのは、博物館を期待して行き、がらんとした木造の天守を見て拍子抜けすることです。実はその飾り気のない木の天守こそが、この城の見どころです。
行く価値はある?(訪れた人自身の言葉で)
まずは海外の旅行者の声です。Redditへの投稿を集めたもので、ほとんどは姫路城に行ったあとに書かれています。確かめたのは「行く価値はあったか」という一点だけで、1つの声を1票として数えました。結果は次のとおりです。
行く価値ありとした122件のうち21件は、同じ理由を挙げています。再建されていない、昔からの城だということです。ある旅行者はこう書いています。「姫路城は正真正銘の本物なので、小さくて分厚い扉や小さな窓まで、すべてが本来の造りです。中にはあまり物がありませんが、巨大な木の梁をはじめ、造りそのものがおもしろいと思います。」
もっと有名なコンクリートの天守と比べる声もありました。「大阪城や和歌山城(どちらもコンクリートで再建されたもの)と違って、姫路城は12ある現存天守のひとつです。」 また、122件のうち22件は、日本の城の中で姫路城をいちばんに挙げています。そのひとつが「日本でいちばんの城と言っていいと思います。大阪から少し足を延ばす価値は十分にあります。」という投稿です。
赤の帯は細いものの、姫路城の下調べで知っておきたいのは、この少数の声の中身です。がっかりしたという16件の声を読むと、7件が中に見るものが少ないこと、8件が混雑と行列を挙げていて、うち2件はその両方でした。どちらも前もって準備すれば手が打てるもので、方法は後半でまとめます。
ある旅行者は「外観は本当にすてきですが、中はかなり味気ないです。見るものはあまりありません。」と書いています。2019年に訪れた別の旅行者が挙げたのは、説明の少なさでした。「姫路城は説明が少なくて、少しがっかりしました。行ったのは2019年なので今は違うかもしれませんが、それぞれの部屋がどう使われていたのか、想像するのがとても難しかったです。イラスト入りの案内板がひとつあるだけでも、ずいぶん違ったと思います。」 大阪城を引き合いに出して、「大阪城はきれいで、中は博物館になっています」と書いた人もいます。中に見るものがないと感じた人たちは、大阪城のような博物館を思い描いて出かけ、何も置かれていない木造の城に出会いました。城そのものが悪かったというより、期待とのずれがあったわけです。
中立の帯は21%で、緑の次に大きな割合です。ここに入る声がすすめているのは、見る価値はあるので、期待しすぎずに行けばいい、という実際的なことです。あるスレッドから集めたコメントのうち、最も多くの支持を集めていたのは次の投稿でした。「日本の城は、たいてい中に入るとかなりがっかりします。いちばん保存状態の良い城のひとつである姫路城でさえ、中はかなりがらんとしています。とはいえ、私たちにはガイドがついていて、城と敷地を回りながら話を聞かせてくれたので、それで本当に違いました。」 ガイドについては、このあと詳しく書きます。
日本人の旅行者は、同じ城をどう見ているか
ふつうの旅行案内にはあまり出てこない部分ですが、日本人の旅行者も同じ建物について、自分で口コミを書いています。その声を同じように数えると、次のようになりました。
81%、およそ5件に4件の声が、この城を心から気に入っています。「日本一に納得。」、「さすが世界遺産!圧倒されます。」、「4度目でした。毎回感動します。」と、短い言葉でたたえる口コミが並びます。書かれているのは展示品のことより、木や階段といった建物そのものの話です。50代の人は「お城を支える太い木に触れエネルギーを感じました。」と書き、別の人は「中は昔ながらの急勾配の階段など、昔を感じられてワクワク。」と振り返っています。ただ、この急な階段は、ほかの人にはなかなかの重労働になります。それについては少しあとで触れます。
次の声は、最高の評価をつけた60代の人のものです。天守に入るのは念願の初めてで、そのうえでこう書いています。「退屈はしませんでしたが、でも物足りなかったです。ただ単に空っぽのお城の中を上に上に登るだけで、歴史的な勉強には特になりません。」
中が空っぽだと感じるのは日本人も同じで、海外の旅行者の思い違いとは言えません。分かれ目は国籍より、何を期待して行くかにあります。感動した人も、がっかりした人も、目にしているのは同じむき出しの木材です。片方は博物館を期待して行き、もう片方は400年前から立つ建物に触れに行きました。行く前から、あとのほうの気持ちで出かけてもらえたらと思います。
日本人の赤の帯(5%)は、建物よりも訪れ方についての声です。混雑と行列、休城日に当たったことや最終入城に間に合わなかったこと、それに先ほどの空っぽの天守の声がひとつあります。体のきつさの話は赤とは別で、不満というより、大変だったという感想に近いものです。しかも、書いているのは城を気に入った人が中心でした。102件のうち22件が急で狭い階段に触れていて、そのうち16件は感動したと書いた人の声です。50代の人は「とても優美なお城ですが体力勝負。天守閣までは階段です。…狭くて急です。」と書いています。暑さに触れた人もいて、「暑い夏も大変だし、大天守は、靴を脱いであがるので、寒い冬も大変そう。」と、冬のことまで気にかけていました。料金については102件中9件が、入城料そのものや最近の値上げに触れています。詳しい料金は後半にまとめます。
行く前に知っておきたいこと
日本政府観光局によると、建てられた当時の天守が今も残る城(現存天守)は、日本に12しかありません。ほかの天守はどれも後の時代に建てられたか、建て直されたもので、よく知られた城の中には20世紀にコンクリートで再建されたものもあります。大阪城の天守もそのひとつです。大阪城天守閣の案内によれば、1931年に鉄骨鉄筋コンクリートで再建され、エレベーターがあり、中は博物館になっています。
姫路城の天守は木造で、1609年に完成しました。城の公式サイトによれば、1956〜1964年に天守全体をいったん解体して修理し、組み直していますが、建て直したことは一度もありません。日本政府観光局は、12の現存天守のひとつである姫路城を、日本でいちばん保存状態の良い城としています。中に物が少ないこと自体が、その証しです。
暮らしを再現した部屋がないのにも理由があります。城主は天守に住んでいませんでした。姫路市の案内によれば、住まいは天守の下にある備前丸という区画にありました。天守のほうは、武器や物資をしまっておく建物でした。階段を上りながら目にしているのは、昔からの天守そのものです。
姫路城は白鷺城とも呼ばれます。白さのもとは漆喰で、壁の外側にも内側にも塗られています。城の公式サイトは、漆喰には火に強いことと見た目が美しいことの両方の役目がある、と説明しています。観光庁の多言語解説によると、城の壁には狭間(さま)と呼ばれる穴が997あります。縦に長い長方形は弓を射るため、四角や丸、三角は鉄砲を撃つための穴で、立った姿勢、ひざをついた姿勢、伏せた姿勢に合わせて3つの高さがあります。遠くから見ると飾りの模様のようですが、実際には天守へ曲がりくねって続く道をねらう射撃の位置です。美しさと守りが同じ壁に重なっているので、ガラスケースの中の展示を探すより、こうしたところをじっくり見てみてください。
天守の外にも楽しめるところがあり、かなりの部分は無料です。入城券がなくても、堀や堀沿いの石垣、三の丸の広い芝生には入れます。日本政府観光局は、天守の全景をいちばんよく眺められる場所としてここを挙げています。菱の門から先は有料区域で、攻めてきた敵を回り道させるように渦を巻いて続く門や、扇のような曲線を描く石垣が見られます。城の隣には好古園という日本庭園があり、行く価値ありとした海外の声122件のうち22件がすすめています。174件中4件は城より庭園のほうが気に入ったと書いていて、そのうちのひとりは「好古園はきれいで、実は城よりそちらのほうが楽しめました」と振り返っています。城と好古園の共通券は2,600円で、城だけの2,500円より100円高いだけです。
天守の中で多かったがっかりは、見るものが少なく、部屋がどう使われていたのか想像しにくいことでした。これを補うには、話を聞かせてくれる人がいるのがいちばんです。姫路市によると、外国語の無料ボランティアガイドがいて、予約は要りません。ガイドの手が空いているときは、改札を入ってすぐのところに「Free Guide」の札を持って立っています。入口で詳しい冊子をもらえたという旅行者の声もあります。先ほどのコメントを書いた人も、城を回りながら「話を聞かせてくれた」ガイドのおかげで、ずいぶん違ったと書いていました。話を聞きながら回れば、何もない部屋も見え方が変わります。有料の個人ツアーを頼むかどうか迷う旅行者もいて、ひとり100米ドルを払ったという人もいました。一方で、無料のガイドで十分だったと書いている人もいます。
中に何もない天守を、いちばん楽しむには
満足できるかどうかは、いくつかの選び方で決まります。どれも、ここまでに紹介した声と事実から出てきたものです。
- 行く時間は、開門の9時ちょうどか、夕方近くがおすすめです。文化財を守るためと安全のため、大天守に入れるのは1時間に1,000人までと決まっています。そのため混む日には、最上階までの待ち時間が2時間を超えると掲示されることもあります。正午に行って、最上階まで2時間半かかった旅行者もいました。朝早く着けば、そのまま入れます。ある旅行者は「午前10時8分に城に入り、10時30分には出ていました」、「最上階まで行列も何もありませんでした」と書いています。朝に間に合わなくても、夕方という手があります。夕方に行った人は「息をのむほどすばらしかったし、人もあまりいませんでした」と振り返っていました。最終入城は16時です。前もってデジタルチケットを買っておくと入場券の購入はスムーズになりますが、混んでいるときに天守へ優先して入れるわけではない、と姫路市は案内しています。
- 天守に上る前に、木材や壁の狭間、上からの眺めを見に来たのだと心づもりをしておくと、気持ちがずっと楽になります。歴史を知りたいなら、手が空いていれば改札の内側に立っている無料のボランティアガイドに声をかけるか、先に冊子に目を通しておきましょう。気の持ち方をこうして変えておくだけで、いちばん多いがっかりが、いちばんの楽しみに変わります。
- 外まわりも、ぜひ時間をとって歩いてください。堀と堀沿いの石垣、三の丸の芝生は無料で入れて、天守を眺めるならここがいちばんとも言われます。門の迷路は改札の先にあり、好古園は共通券にすれば100円増しで入れます。174件の声のうち14件は、外だけで十分、あるいは中より外のほうが良かったと書いていました。
- 服装と足もとは、見学というより山登りのつもりで選ぶと安心です。昔からの急で狭い階段が続き、エレベーターも冷房もありません。木の床は靴下で歩くので、城の公式サイトは靴袋と厚手の靴下を持ってくるよう呼びかけていて、大天守までの道のりを「小さな山を登るよう」と表現しています。夏は暑いので水を持ち、冬は床が冷えることを覚えておいてください。下りは急がず、ゆっくりで大丈夫です。下りのほうが上りよりきつかった、と書いた日本人の口コミもありました。
- 入城料は大人(18歳以上)2,500円、姫路市民は1,000円、18歳未満は無料で、好古園との共通券は2,600円です。市民料金は住所で決まり、国籍は関係ありません。姫路に住む外国人なら市民料金、東京から来た人は通常の料金になります。時間は半日あれば足りるので、神戸や好古園と組み合わせると無理がありません。広島と同じ日に回るのは避けたほうが無難です。
こうした選び方をしておけば、がっかりした人たちより、感動した人たちに近い一日になります。姫路城で見られるのは、400年たった今も立っている、もとの建物そのものです。
では、行く価値はあるのでしょうか。階段は急で、混む日の午後にはしっかり行列ができ、最上階にガラスケースの展示はありません。それでも、そこにあるのは1609年に完成した木造の天守で、姫路市によれば、一度も戦いの場にならず、焼けたこともありません。まわりの敷地は無料で歩けます。もとの建物には、再建された城では得られないものがあります。建物を見に行くつもりで出かけて、階段はゆっくり上ってください。
短い日程で、どこを優先するか迷っていたら、まずは日本で本当に大切なことから。門や白い壁、最上階までの上り道をひととおり歩くなら、このページのすぐ下にある姫路城の音声ガイドもどうぞ。
出典
- 姫路城(公式サイト):観覧案内(英語):開城時間(9時〜17時、入城は16時まで)、入城料(大人〈18歳以上〉2,500円、姫路市民1,000円、18歳未満無料、好古園との共通券2,600円。ページ上は桁区切りのない2500 yen・1000 yen・2600 yenの表記で、好古園の分は100円)、空調・エレベーター・エスカレーターがないこと、非常に急で狭い階段、木の床は靴を脱いで歩くこと、靴袋と厚手の靴下の持参のお願い、大天守までの道のりを「小さな山を登るよう」とする説明、夜の白いライトアップ。
- 姫路城(公式サイト):ガイドと歴史(英語):池田輝政のもとでの天守の完成(1609年)、1956〜1964年の天守全体の解体・修理と組み直し、大天守に武器と物資を収めていたこと、壁の両面に塗った漆喰が火に強く見た目も美しいこと、1945年の空襲を生き延びたこと。
- 姫路市:姫路城の観覧案内(日本語):文化財保護と安全のための大天守の入場制限(1時間に1,000人まで、混雑日は入口で待ち時間)、「市民」は姫路市内に住所がある人であること、デジタルチケットは入場をスムーズにするが混雑時の優先はないこと、外国語の無料ボランティアガイド(予約不要、手が空いていれば改札の内側に「Free Guide」の札を持って立つ)。
- 姫路市:姫路城の規模(日本語):日本に残る現存天守のひとつであること、連立式の天守、三重の螺旋状の縄張り、戦いの場にならず焼けたこともないこと。
- 姫路市:城内の楽しみ方(日本語):曲がりくねった守りの道筋、扇の勾配の石垣、西の丸、城主池田輝政が住んだ備前丸。
- 観光庁 多言語解説文データベース:狭間(英語・日本語):997の狭間、弓用と鉄砲用の形、3つの高さ。
- ユネスコ世界遺産センター:姫路城(英語):1993年の登録、機能と美しさを兼ね備えた木造建築の傑作という評価。
- 日本政府観光局(JNTO):姫路城(英語):日本でいちばん保存状態の良い城、現存する12の城のひとつ、白鷺城の名、三の丸は入場無料で菱の門から先は有料区域、天守の中は説明板が少しある程度でほとんど何も置かれていないこと、大手前通りからの道、好古園。
- 大阪城天守閣(公式サイト):90年の歩み(日本語):3代目の天守が1931年に鉄骨鉄筋コンクリートで完成したこと、当初から館内が歴史博物館であること、エレベーター。
WMJSは日本人が英語で書き、AIの力を借りて日本語にしています。日本人の目で確かめていますが、翻訳の癖が残っている文があるかもしれません。気になる一文があれば教えてください。一文で十分です。
ありがとうございます。ひとつひとつ、人が読みます。
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