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WMJS
Lake Ashinoko in Hakone with the red torii gate of Hakone Shrine at the forested shore and the snow-capped peak of Mount Fuji beyond
どんな旅人として行くか

ふたりのための日本、はじめての旅を一緒に

少しゆっくりした王道ルート。東京、箱根の温泉でひと晩、それから京都へ。ふたりが覚えている静かな瞬間を軸に組み立てた、あなたに向かってロマンスを演じるのではなく、ふたりのための余白をつくってくれる国での旅です

最終確認: 2026-06-23

日数
5日:少しゆっくりした王道ルート。東京で二日ほど、箱根の温泉宿でひと晩、それから京都へ。ふたりが覚えている瞬間を軸に組み立てて
ベストシーズン
一年を通して。春の桜と秋の紅葉がいちばん人を集めます。冬は景色と引き換えに、箱根から見えるその年いちばんくっきりした富士と、人けのない夜明けの小道を。京都の川床(かわゆか)は暖かい季節のもの
拠点
ふたつの街を拠点に。まず東京、それから京都。その間に、箱根の温泉宿で忘れられないひと晩を。すべては西へ向かう一本の線の上に
移動手段
ひとり1枚のICカードで、全国の電車も地下鉄もバスもタッチひとつ。ホームはGoogleマップが教えてくれます。新幹線はふたり分の席を並びで予約し、箱根では1枚のパスで山をぐるりとめぐりましょう

このプランが合う人

  • 初めての日本ぴったり
  • リピーターよく合う
  • 子ども連れ主役ではない
  • ひとり旅主役ではない
  • ふたり旅ぴったり
  • ゆったりペースよく合う
行く時期Year-round

Good all year. Spring blossom and autumn colour draw the biggest crowds; winter trades scenery for the year's clearest Mount Fuji from Hakone and near-empty dawn lanes; Kyoto's riverside terraces and the Sagano Romantic Train are warm-season pleasures (roughly spring through autumn).

はじめての日本旅行を、ふたりで計画しているあなたへ。最初にそっと下ろしておきたい心配ごとがひとつあります。ほとんどの人が、それを抱えて日本にやってくるからです。日本はロマンチックじゃないかもしれない、というひそかな不安です。母国でそうしてきたように探してしまうんですよね。うっとりさせてくれるキャンドルの灯るレストラン、大きなサプライズ、街ぜんたいが愛を歌い返してくれるような場所を。すると最初のうち、日本はどこか控えめに見えるかもしれません。ここのカップルは道でキスをすることはめったにないし、ディナーはうっとりというより丁寧で端正。誰もあなたに向かってロマンスを演じたりしません。着いて一日か二日で、ときめきはここにはないのかも、とつい思ってしまいがちです。でも、私がだんだんと信じるようになったこと、そしてこのプラン全体でお伝えしたいことがあります。日本はあなたに向かってロマンスを演じません。ふたりのための静かな余白をつくってくれるのです。 私が何度も立ち返る言葉があります。「間(ま)」です。意味をもった余白、言葉にしないもの、身ぶりよりも多くを抱く一瞬の沈黙に、価値を置く感覚。ここでの親密さは、外へ発信せず、そっと胸にしまっておくもの。だからこそ、かけがえのないものに感じられるんですよね。ロマンスは、ちゃんとあります。ただ、あなたがまだ目を向けていない場所に、静かに座っているだけなのです。

だから、大きなサプライズを追いかけるのをやめたとたん、日本がずっとロマンチックだった場所に気づきはじめます。そこに一緒にいることのなかに、そっと息づいています。並んで座って、料理人の手さばきを見つめるカウンター。近くて、急がなくて、埋めるべき言葉なんてなにもない。夕食が部屋まで運ばれ、その夜がふたりだけのものになる宿。歩きづめの一日のあとに一緒に沈む湯船、夜明けにふたりだけのものになる石畳の小道、夕暮れの涼しさに包まれた川べり。以下は、そんな瞬間を軸にはじめての旅を組むなら、というかたちです。王道ルートの、少しゆっくりした版。東京で二日ほど、箱根の温泉宿でひと晩、それから京都へ。そのかなめは、あの温泉のひと晩です。ふたりがいちばん長く覚えているのは、たいていそこなんです。あとはご自由にほどいて、あなたの旅に合わせて組み直してみてください。ゆっくりとした歩みは、旅の代償なんかじゃありません。それこそがデートなのです。

拠点をどこに置くか

ふたりの旅では、部屋は、ひとり旅やグループ旅よりも大きな意味をもちます。一日のざわめきが引いていき、また、ふたりだけに戻る場所だからです。だから泊まる場所は、住所と同じくらい、その「気持ち」で選びたいところです。

東京と京都では、駅の近くのふつうで居心地のよいホテルで十分です。日中はほとんど外に出ているので、通勤しなければならない立派な住所よりも、よく使う路線沿いの落ち着いた拠点のほうが勝ります。東京なら、夜のひとときが過ごしやすい場所がいいですね。下町の静けさなら浅草、その中心に身を置きたいなら新宿東京駅のような乗り換えに便利なハブを。京都では、京都駅の近くに泊まると、到着も日帰りの遠出もらくらく。中心部(河原町・先斗町)東山の坂あたりなら、古い小道と川べりを、夜のひと歩きの距離に置けます。

いちばん丁寧に計画したい夜は、箱根です。 そこでは旅館そのものが体験であって、ただの寝床ではないからです。ここがこの旅のかなめです。夕食はゆったりした間で運ばれる懐石のコース、夜は宿が貸してくれる木綿の浴衣で過ごし、そして温泉が、その中心にあります。ふたりで知っておくといいことがひとつ。大きな大浴場は男女に分かれているので、もし一緒にお湯につかりたいなら、貸切風呂、つまりふたりだけで予約できるお風呂のある宿を探すか、露天風呂つきの客室を選ぶといいですね(かたちはファクトボックスに載せています)。どちらかがタトゥーをしている場合も、これがいちばんシンプルな答えです。それに、作法を考えすぎないでください。旅館のご主人たち自身から聞いたように、彼らが見ているのはあなたの寛ぎであって、型ではないのです。

移動ときっぷ

まずはひとり1枚、ICカードを用意しましょう。SuicaでもICOCAでも、どちらでも大丈夫です。これでもう、きっぷのことはほとんど考えずにすみます。タッチして入り、タッチして出る。運賃は勝手に計算されます。カードは全国どこでも使えるので、東京で買った1枚が、箱根でも京都のバスでも使えます。コンビニの支払いにもタッチできますよ。

ふたつの長い移動については、それぞれ小さな心づもりを。箱根へは、新宿からまっすぐ向かう指定席の特急、小田急ロマンスカーがおすすめです。そして箱根のなかでは、1枚の箱根フリーパスが、山をめぐる周遊(電車、ケーブルカー、ロープウェイ、湖を渡る船)をぜんぶ、区間ごとにきっぷを買わずに通してくれます。箱根から京都へは、小田原から東海道新幹線に乗ります。ひとつ気をつけたいのは、いちばん速い「のぞみ」は小田原に停まらないこと。なので「ひかり」か「こだま」に乗ります(ボックスで説明しています)。そしてつまずきやすいのがこれ。ふつうのICカードでは新幹線の改札をタッチで通れません。Smart-EXで予約するか、きっぷを買います。ついでにふたり分の席を並びで押さえておくといいですね。

それ以外は、ふたりで動くのは本当にストレスが少なくて、その理由はGoogleマップです。電車も、ホームも、ときには乗る号車まで教えてくれます。迷う不安はほとんど消えてしまうので、その分、あてもなく歩きまわる時間が増えるのです。

東京:らくな到着と、ふたりのための最初の夜

The Kaminarimon gate and its great red lantern at Senso-ji temple lit up in the evening, Asakusa, Tokyo

初日は、あえてやさしく過ごしたいところです。時差ぼけで着くことが多いですし、長旅の霧のなかで名所を無理に見ても、いいことはありません。コンビニのATMで少しお金を下ろして、荷物を置いて、午後は拠点の近くでゆっくり。それから、そのあとのすべての空気をそっと決めてくれる、小さなひとつを。カウンターで一緒に、早めの、急がない夕食です。母国ではあんなに構えてしまう「おふたりですか?」という問いは、ここではほとんど存在しません。多くのお店では入り口の券売機で注文し、カウンターにふたつスツールを取って、腕を伸ばせば届く距離で料理人の手さばきを眺めます。埋めるべきものも、続けるべき演技もありません。ただ並んで座って、一日を静かに落ち着かせるだけ。浅草寺は、日帰りの人がまばらになったころに灯りがともり、夜まで開いています。ふたりでゆっくり歩く最初の一歩には、静かで素敵な場所です。

  1. 午後着いて、落ち着いて、ペースを落とす羽田からは東京モノレール、成田からは全席指定のN'EXが、東京駅や新宿のようなハブまで運んでくれます(所要時間はボックスに)。そこから浅草の拠点までは、ひと乗りです。コンビニか郵便局のATMでお金を下ろし(外国のカードも使えます)、なにより先にチェックインを。そうすれば、残りの一日にやわらかな地面が敷かれます。
  2. 夕方の早い時間浅草寺を、急がずに浅草駅から歩いて数分。大きな赤い雷門の提灯と仲見世の通りが、東京でいちばん古いお寺へと導いてくれます。日が暮れると境内は灯りに包まれ、人波は引いていきます。静かで、ほとんどふたりだけの、最初の散歩です。関連ガイド: 浅草寺
  3. 夕食カウンターで、並んで店先に券売機のあるラーメン店か立ち食い寿司店を見つけてください(写真と英語ボタンで、まったく苦になりません)。食券を買って、カウンターのスツールにふたつ腰かけて、いただきます。料理人から腕一本の距離で味わう完璧な一杯に、言葉はいりません。ささやかなことですが、この旅にあふれている、まさにあの近くてらくな瞬間なのです。
  4. 寝る前のひとときコンビニの儀式帰り道、コンビニが静かなちょっとした習慣になります。ふたりで分ける夜食、温かいか冷たい飲みもの、明日の朝ごはん。ぜんぶ小銭いくらかで。帰国してから、いちばん恋しくなるもののひとつになっても、驚かないでくださいね。

東京:昼は騒がしい街、夜は小さくて温かい部屋

A narrow lantern-lit alley of tiny bars and izakaya glowing at night in Shinjuku's Golden Gai, Tokyo

今日は街を最大の音量で。ふたりで楽しむ醍醐味は、その対比にあります。午後は大きく、まぶしく突き抜けて、夜はまた、ふたりだけへとそっと折りたたんでいく。まず、日の出とともに開く森の社、明治神宮の緑の静けさから始めて、そのまま原宿の色彩と、表参道の並木のブティックへ足を踏み出します。午後は、ふたりでしか本当には味わえないものを分かち合いたいですね。teamLabのデジタルアートの世界です。光り、移ろう空間を手をつないで歩きまわり、はぐれては、また見つけ合う。眺めるのではなく、なかに入り込むロマンスです(時間指定を事前に予約してください。ボックスで説明しています)。そして最後は、東京がふたりにとっていちばん温かい場所で締めくくります。横丁、つまり提灯の灯る小道に立ち飲みの店や居酒屋がひしめく一角です。カウンターに肩を寄せ合って座り、歩きながら小皿をいくつか頼めば、店ぜんたいが誰かの居間のように感じられます。街は騒がしい。でも、夜まで騒がしくある必要はないのです。

  1. 明治神宮を、らくなペースで原宿駅から一歩で、社を包む高い森のなかへ。広い玉砂利の道、大きな木の鳥居、そして好きなだけゆっくり味わえる静けさ。入場無料、日の出から日の入りまで開いています。関連ガイド: 明治神宮
  2. 昼前原宿と表参道森を抜けたら、まっすぐ竹下通りのポップな色彩へ。それから数分歩けば、並木の落ち着いた通り、表参道です。並んで歩くのが楽しい、素早い対比です。関連ガイド: 原宿
  3. 午後teamLab、ふたりでこの没入型のデジタルアート美術館は、めったにない種類の「一緒に体験するもの」です。光と水の部屋をふたりで通り抜け、はぐれては、また見つけ合う。時間指定の入場なので、行く前に日付と時間の枠を予約してください(ボックス)。関連ガイド: teamLab
  4. 横丁のカウンターで小さなバーや居酒屋が集まった一角を見つけてください。横丁の小道は、ひとりかふたりのためにできています。腰を落ち着けて、歩きながら頼み、その小さな部屋の温かさに身をまかせましょう。控えめな日本が、ここでふたりを驚かせてくれることが多いんです。静かな夜のほうがいい?それなら、部屋に戻ってのコンビニ夕食も、それはそれで小さな喜びですよ。

箱根:温泉宿の夜、この旅の心臓

A steaming open-air hot-spring bath set among trees and rocks, empty and quiet

この日は、ほかのどの日よりも大切に守りたいところです。ロマンスカーで東京を抜け出し、街と引き換えに温泉の山へ。そして一日ぜんたいが、あるひと晩へと傾いていきます。午後には山をぐるりとめぐり終えています(小さな電車、ケーブルカー、湯けむり立つ谷を越えるロープウェイ、水のなかに立つ赤い鳥居へと湖を渡る船)。晴れた日には、芦ノ湖の上に富士山が、昔の版画そのままの姿でそこにいます。でも、この周遊はほんとうは序曲なんです。夜こそが本番。旅館にチェックインし、浴衣に着替えると、旅がふうっと息を吐きます。お風呂、ゆっくりした懐石の夕食、どこへ行く必要も、誰に気を遣う必要もない夜。どんなひとつの名所よりも、これこそが、ふたりが家へ持ち帰るものなのです。はじめての旅で、もしひとつだけ奮発するなら、私はこのひと晩にします。

  1. ロマンスカーで出発新宿から、小田急ロマンスカーが箱根湯本までまっすぐ走ります。指定席の特急なので、ふたり分の席を並びで予約して、郊外が山へと変わっていくのを眺めましょう(ボックス)。ついでに、周遊用の箱根フリーパスを買っておくといいですね。
  2. 昼ごろ山をぐるりと王道の周遊は、山を登る電車で強羅へ、ケーブルカーで早雲山へ、それからロープウェイで大涌谷(黒たまごを茹でる、むき出しの湯けむり立つ火山の谷)の上を渡り、芦ノ湖へと下ります。湖では遊覧船が、箱根神社の赤い水中鳥居まで渡してくれます。1枚のフリーパスで、すべての区間をカバー。(ロープウェイは強風や悪天候で止まることがあり、火山の谷は活動が高まった時期に閉鎖されたこともあります。その日の運行状況をちらっと確認してください。どちらにしても、もっとゆるやかな下のルートがあります。)関連ガイド: 箱根
  3. 午後遅くチェックインして、一日を手放す旅館に落ち着いて、宿が用意してくれた浴衣に着替え、最初のひと湯を。大浴場は男女に分かれています。もし一緒に入りたいなら、ここで、予約制の貸切風呂が本領を発揮します(ボックス)。お風呂で少し火照ったからだで、おそろいの浴衣のまま宿を歩きまわる。これは、ここではとても身近な、ひとつの独特なロマンスなのです。
  4. 懐石を、急がずに夕食は旅館の、静かな見せ場です。季節のコースがひと皿ずつ、多くは個室に運ばれてきて、あなたに求めるのはただ、座って味わって語らうことだけ。もし口に合わないお皿があっても、残してまったく大丈夫です。旅館のご主人が教えてくれたように、彼らが読み取るのはあなたの寛ぎであって、作法ではありません。それからもうひと湯、そして、らくで深い眠りを。

京都へ:夕暮れの古い小道、夜の川べり

Lantern-lit wooden restaurants along the Kamogawa river at dusk in central Kyoto

発つ前にもうひとつ、朝のお風呂をこっそりいただきたいところです。箱根への素敵な別れになります。それから新幹線で西へ、古い都へ向かいます。荷物を置いたら、午後は東山の丘へ。古い街がいちばん表面に近づく場所です。大きな木の舞台をもつ清水寺、その下の坂を転がるように下る産寧坂と二年坂の石畳、そして提灯がともるころの祇園。ふたりにとって、ここは一日が美しくゆっくりする場所です。ツアーの団体がバスへと流れていくのを見送りながら、人の減っていく小道でブルーアワーまで名残を惜しみ、それから水辺へと下っていく。カップルにとって、京都のロマンスの多くは川のそばにあります。鴨川沿いと、その脇の提灯の灯る細い路地、先斗町。人々は何世紀ものあいだ、夕暮れの涼しさのなかでここに食べに、歩きに来てきました。そして暖かい季節には、お店が川の上に川床のテラスを張り出します(ボックス)。祇園へのそっとしたお願いをひとつ。この小道では人が暮らし、働いています。公道を歩き、そっと足を運べば、あなたは歓迎されますよ。

  1. 箱根から京都へ宿から箱根湯本まで下り(登山電車かバスで、まだフリーパスが使えます)、そのまま小田原まで乗って、東海道新幹線で京都へ。いちばん速い「のぞみ」は小田原を飛ばすので、「ひかり」か「こだま」に乗ってください。そして、ふつうのICカードでは新幹線の改札をタッチで通れないことをお忘れなく(ボックス)。ふたり分の席を並びで予約して、道中用に駅弁を手に入れましょう。
  2. 午後清水寺と坂道京都駅から市バスが清水へと登っていきます。お寺の崖の舞台からは、産寧坂と二年坂の石畳の坂が、歩いて下れるように広がっています。乗りものはいりません。屋根の上にそびえる八坂の塔を過ぎながら、坂を下っていくだけ。早くから開いていて、入場料は少しです(ボックス)。関連ガイド: 清水寺
  3. 夕方の早い時間提灯の時間の祇園灯りがともるころ、そっと、公道を歩いて祇園へと入っていきます。古い木の家並み、白川のせせらぎ、小さな巽橋。静かに情緒があって、自分たちのゆっくりしたペースで味わえるのが素敵です。関連ガイド: 祇園
  4. 川べり、先斗町鴨川へ下って、先斗町のなかへ。提灯の灯る、ふたりでやっと通れるほどの狭い小道に、小さなお店がずらりと並んでいます。(先斗町のWMJSガイドはまだないので、道しるべだけ置いておきますね。)そのあと川沿いを歩きましょう。暖かい季節には川床のテラスが水の上に張り出していて、川の音こそがすべての目的なのです。

京都:ふたりだけの夜明け、それから嵐山

The towering green stalks of the Arashiyama bamboo grove path, empty in the early morning light

早起きなふたりが、自分たちに贈れる贈りものがあります。有名な場所を、人けなしで。9時前の古い都は、起きている者のもの。だから一度だけ目覚ましをセットして、朝いちばんの光のなか、伏見稲荷の朱の鳥居のトンネルのなかに立ちに行きたいですね。回廊はほとんど無音で、山でいちばん大きな音は、ふたりの足音です(一日じゅう開いています)。それから一日は西へと移り、嵐山、京都の川と竹の縁へ。まだ静まっているうちに歩く高くそびえる竹林、その背後の丘へと開ける天龍寺の禅の庭、川にかかる渡月橋。もし日程が運行期間に当たっていれば、小さな嵯峨野のロマンティックトレイン(本当にそういう名前なんです)が保津川の渓谷をがたごとと登っていきます。ナレーションなんていらない、木の葉に縁どられたゆっくりした旅です(ボックス)。最後は、どこかで急がない食事をして締めくくりたいですね。そして、カップルがよく最後にたどりつく静かな気づきを。語り合うことになる旅は、名所というより、そのあいだにある余白だったのだ、と。お風呂、カウンター、夜明けの小道、川。日本がふたりのために、つくりつづけてくれた、あの余白なのです。

  1. 夜明け伏見稲荷、人波の前に京都駅からJR奈良線の普通電車で、数分で稲荷駅(快速は停まりません)。鳥居は駅を出てすぐです。トンネルを好きなだけ登ってみてください。高く、早く行くほど、ふたりだけのものになります。無料で、一日じゅう開いています。関連ガイド: 伏見稲荷
  2. 昼前嵐山: 竹林と庭西へ、嵯峨嵐山まで。道が静かなうちに早めに竹林を歩いて、それから天龍寺の禅の庭へ。背後の山を借りるように造られています(入場料は少し。ボックス)。関連ガイド: 嵐山
  3. 午後川、そしてロマンティックトレイン渡月橋と川へと下ります。シーズン中は、嵯峨野観光鉄道、あの「ロマンティックトレイン」が渓谷を登って戻ってきます。全席指定なので、事前に予約を(ボックス)。運行期間外でも、川沿いの散歩と船遊びが素敵ですよ。
  4. 最後の、ゆっくりした夕食中心部のほうへ戻って、急がない最後の食事を。カウンターでも、川沿いの小さなお店でも。もう、こなすべきことはなにもありません。ただ、ふたりだけ。そして、じつは最初からずっとロマンチックだった国。静かに、その国なりのやり方で。

もう1日あるなら

+1日

もう1日あるなら、私は名所を足すより、静けさのほうへもっと深く傾きます。もう1日、京都で過ごすのは、ふたりにとても似合います。哲学の道をゆっくり歩いて銀閣寺へ、お茶屋さん、長めのお昼、そしてどこへ行く必要もない午後。あるいは、奈良へのやさしい日帰りを。 おじぎをする鹿と大仏が、気負わずのんびり歩ける散歩にしてくれます。あるいは、箱根の夜がもうひと晩ほしくさせたなら、その追加の一泊を、街ではなく温泉町に。京都の北にある城崎は、町ぜんたいをひとつの宿のように営んでいます。旅館が貸してくれる浴衣で七つの外湯のあいだを歩き、夕暮れの石橋を下駄がからころと鳴らすのです。

1日足りないなら

−1日

時間が足りない?この旅は、心臓を失わずに折りたためます。そしてその心臓は箱根の夜なので、それだけは守りたいところです。私なら東京、温泉の夜、そして京都のままにして、両端の街の一日をひとつずつ削るだけにします。東京で一日半、箱根の夜、それから京都。はじめての旅では詰め込みたくなるものですが、ふたりには逆が効きます。場所を減らして、ゆっくり抱えれば、旅を自分たちのものに感じさせてくれる、夜明けの小道や長い夕食のための余白が残るのです。ふたりの心をいちばん引いた二つか三つを選んで、それに息をする余白を与えてください。

ここから足をのばす

その先へ

このルートは、両方向へ延びる、もっと長い旅の幹になります。西へ行けば、京都はそのまま関西のほかの場所へと引き継ぎます。奈良をたっぷり、大阪のネオンと食べ歩き、姫路の白い天守。そして、この旅のどれとも違うひと晩へ。高野山の宿坊、精進料理と夜明けのお勤めです。東へ行けば、東京は関東のほかの場所へと開けます。そしてもし日程が桜や秋の燃えるような紅葉に当たれば、まったく同じ道のりを季節がもう一度導いて、それ自体がひとつの旅になります。花や色が、なんでもない小道を、ふたりして忘れられないなにかに変えてくれるのです。なにを足すにしても、私はここで役に立ったひとつの習慣を持っていきます。分別が言うより多めに、余白を残しておくこと。ふたりが覚えている瞬間は、たいてい、その隙間にやってくるからです。

知っておきたい、運賃と所要時間

東京(新宿)から箱根:小田急ロマンスカー
小田急ロマンスカーは、新宿から箱根湯本までまっすぐ約80分で結ぶ指定席の特急です(全席指定)。基本運賃または箱根フリーパスに加えて、特急「ロマンスカー」券(大人片道おおよそ¥1,200)が必要です。ふたり分の席を並びで予約しましょう。
箱根フリーパス:周遊まるごと1枚で
箱根の周遊を構成する乗りもの、つまり箱根登山電車、ケーブルカー、ロープウェイ、芦ノ湖の遊覧船(「海賊船」)、そして路線バスに乗り放題で、加えて小田急線の小田原までの往復がつく、2日間(または3日間)のパスです。新宿からは大人おおよそ¥7,100(2日間)。ロマンスカーの特急料金は別です。
箱根の周遊(ゴールデンコース)
王道の周遊は、箱根湯本から箱根登山電車で強羅へ、ケーブルカーで早雲山へ、ロープウェイで大涌谷(湯けむり立つ火山の谷と、その黒たまご)の上を渡って桃源台へ下り、遊覧船で芦ノ湖を渡って元箱根・箱根町へ。そこには湖に立つ箱根神社の赤い鳥居があります。どちら回りでも走り、1枚のフリーパスですべての区間をカバーします。ロープウェイは強風、悪天候、点検で止まることがあり、大涌谷は火山活動が高まった時期に閉鎖されたこともあります。出かける前に、その日の運行状況を確認してください。
箱根から京都(小田原、東海道新幹線)
箱根湯本から、箱根登山・小田急線で小田原まで下り、それから東海道新幹線で京都へ。おおよそ2時間から2時間半です。落とし穴は、いちばん速い「のぞみ」は小田原に停まらないので、「ひかり」か「こだま」に乗ること。ふつうのSuicaやICOCAでは新幹線の改札をタッチで通れません。カードをSmart-EXの予約に登録するか、きっぷを買ってください。
ふたりのための貸切風呂
公衆の温泉は男女に分かれていて、裸で、湯につかる前に体を洗って楽しみます。だから一緒に入りたいカップルは、ふたりだけのために予約する貸切風呂(多くは45〜60分の枠)を取るか、露天風呂つきの客室に泊まります。多くの旅館が用意していて、宿泊客には料金に含める宿もあります。値段は宿によって違うので、予約のときに聞いてみてください。どちらかがタトゥーをしている場合も、これがいちばんシンプルな解決策です。
旅館の夜
旅館の滞在は、夜をお風呂と、コースの懐石夕食を中心に組み立てます。改まっていて、季節を映し、多くは八品から十二品ほどが、個室か食事処でゆったりした間で供されます。滞在中はずっと、宿が用意する木綿の浴衣を着ます(左側を右側の上に重ねます)。夕食と朝食は、たいていプランに含まれています。
温泉とタトゥー
多くの温泉は、いまも入れ墨のある客に覆うか、入らないようお願いします。とはいえ、その様子はゆっくり変わりつつあります。手軽な回避策は、小さなタトゥーを肌色のシールで覆う(事前に買っておきます)、タトゥーOKの宿を選ぶ、あるいは貸切風呂や客室風呂を予約すること。そこには公衆のルールが当てはまりません。
ICカード(Suica/ICOCA):1枚で、全国どこでも
プリペイド式のタッチカードです。タッチして入り、タッチして出れば、JR・地下鉄・私鉄・バスの運賃を計算してくれます。全国相互利用の仕組みのおかげで、東京で買ったカードが箱根でも京都でも使えるので、ひとり1枚あれば十分です。コンビニでは電子マネーとしても払えます。(新幹線だけは、これだけではカバーできません。)
羽田空港から東京都心へ
東京モノレールが、約13分で浜松町へ(およそ5分おきに発車)。そこでJR山手線に乗り換えます。ICカード(Suica/ICOCA)でそのままタッチして通れます。
成田空港から東京都心へ
全席指定の成田エクスプレス(N'EX)が、東京駅までおよそ53〜60分、新宿まで約80分。席を予約してください。どちらのハブからも、拠点まではひと乗りです。
teamLab:時間枠を予約
東京のteamLabのデジタルアート美術館は両方(麻布台ヒルズのボーダレス、豊洲のプラネッツ)、時間指定の入場制です。公式チケットストアで日付と入場時間の枠を事前に予約し、その時間の短い枠のなかで入ります。着く前に予約しておいてください。
teamLab — 東京(公式)確認時点: 2026-06
清水寺
京都駅から京都市バスで五条坂か清水道へ、そこから土産物の小道を通っておよそ10分の上り坂。6:00開門、閉門は季節により変わります。拝観料はおよそ¥400。
清水寺(公式)確認時点: 2026-06
京都の川床(納涼床)
暖かい夜には、鴨川の西岸、二条から五条のあいだ(先斗町・木屋町側)のお店が、川の上に高く張り出した食事のテラスを組みます。1600年代から続く京都の伝統です。シーズンはおおよそ5月1日から10月中旬〜下旬まで。夜の予約はしておく価値があります。
嵯峨野観光鉄道(「ロマンティックトレイン」)
保津川の渓谷沿いを、トロッコ嵯峨からトロッコ亀岡まで走る観光トロッコ列車です。約25分、全席指定。運行はおおよそ3月1日から12月29日まで(真冬は運休)で、多くの水曜は休みなので、とくに紅葉のシーズンはカレンダーを確認して事前に予約を。
嵐山:天龍寺と竹林
天龍寺はユネスコ世界遺産の禅寺で、その曹源池の庭は背後の嵐山の丘を「借りて」います。庭の拝観料はおよそ¥500(建物に入るにはもう少し)、開門はおおよそ8:30〜17:00。北門のわきにある有名な竹林の道は無料で公道です。人波の前、早めに歩くのがいちばん静かです。
天龍寺(公式)確認時点: 2026-06
伏見稲荷(夜明けに)
JR奈良線の普通で稲荷へ、京都駅から数分(快速は停まりません)。鳥居は駅を出てすぐです。24時間開いていて無料なので、夜明けか9時前の訪問が、鳥居のトンネルで人波に先んじます。
伏見稲荷大社(公式)確認時点: 2026-06

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清水寺 — なぜ人は丘を登り、崖の上に立って願いをかけるのか

公式資料に基づく清水寺の音声文化ガイド。崖にせり出した舞台は観音さまへ願いをかける場所。音羽の滝の作法、坂を登り下りる歩き方まで、安心して訪れるためにやさしくご案内します。

Kiyomizu-dera Temple

伏見稲荷大社 — 一万本の鳥居、そのひとつひとつが感謝のかたち
9 min· 5 ch
出かける前に歩きながら

伏見稲荷大社 — 一万本の鳥居、そのひとつひとつが感謝のかたち

伏見稲荷の一万本の鳥居は、くぐり抜けられる「ありがとう」のかたちです。公式資料で検証した音声文化ガイド。狐が神ではなく使いである理由、山頂に絶景がない理由、人混みを抜ける歩き方をお伝えします。

Fushimi Inari Taisha

奈良公園 ── 鹿はなぜお辞儀するのか、そして日本はなぜ千年もこの鹿を見守ってきたのか
12 min· 5 ch
出かける前に歩きながら

奈良公園 ── 鹿はなぜお辞儀するのか、そして日本はなぜ千年もこの鹿を見守ってきたのか

奈良公園のための、公式ソースで裏取りした音声文化ガイド。なぜここの鹿が神の使いと呼ばれ、なぜお辞儀をするのか、そして鹿せんべいの屋台から東大寺の大仏、春日大社へ続く灯籠の道まで、鹿たちと午後のひとときをやさしく分け合う方法をお伝えします。

Nara Park

城崎温泉 — 町ぜんたいが、ひとつの宿
9 min· 6 ch
出かける前に歩きながら

城崎温泉 — 町ぜんたいが、ひとつの宿

浴衣に下駄で外湯めぐり、太鼓橋を渡りそぞろ歩く。城崎温泉は「町ぜんたいがひとつの宿」。七つの外湯の入り方、行き方、松葉ガニの季節、泊まる魅力まで、安心して旅を楽しむためのやさしいガイド。

Kinosaki Onsen (Otani River)

高野山 — 千年の祈りが、一度も止まったことのない山
10 min· 6 ch
出かける前に歩きながら

高野山 — 千年の祈りが、一度も止まったことのない山

標高800mに浮かぶ真言宗の聖地・高野山。空海の入定、奥之院の20万基を超える石塔、宿坊と精進料理、朝のお勤めまで。行き方・拝観時間・泊まり方も、やさしくご案内します。

Koyasan (Mount Koya)

銀閣寺 ― 銀がないのに「銀閣」、それでも日本が美しいと感じる理由
9 min· 6 ch
出かける前に歩きながら

銀閣寺 ― 銀がないのに「銀閣」、それでも日本が美しいと感じる理由

銀閣寺に銀はありません。なぜ銀がないのか、それでも京都で最も美しいとされるのか ― 簡素枯淡の東山文化を、やさしくご案内します。銀沙灘・向月台の月の謎、外から眺める観音殿、苔と石段の登り、桜と紅葉の哲学の道(約2km)まで。拝観時間は夏8:30〜17:00(冬は9:00〜16:30・年中無休)、拝観料は大人1,000円(2026年4月改定)。京都駅からは地下鉄今出川+市バスが便利。金閣の『足す美』と対をなす『引く美』を味わう一日に。

Ginkaku-ji (Jishō-ji)