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箱根を訪ねる、温泉にたどり着くための山の周遊路
デスティネーションガイド神奈川県

箱根を訪ねる、温泉にたどり着くための山の周遊路

Hakone (Lake Ashinoko)

著者 Kei · 日本生まれ、日本育ち

箱根は行く価値がある? 集めた声で言えば、多くは「行く価値あり」。ただし回り方次第だ。実際に訪れた海外旅行者186人の声を読者の共感で重みづけすると59%が「行く価値あり」に傾き、がっかりはわずか15%。日本人旅行者の受け止めはさらに温かく、がっかりはたった5%にとどまる。山岳鉄道・ケーブルカー・ロープウェイ・船を乗り継いで温泉にたどり着くこの周遊ループは、新宿からの小田急フリーパス2日間券がおよそ¥7,100、ロマンスカーで東京から約90分、周遊路をまるごと回るなら丸一日かかる。日帰りで駆け抜けるか旅館に一泊するかで、評価は大きく変わる。実際の声と、避けられるすれ違いひとつは、後半でまとめます。

箱根とはどういう場所か

たいていの観光地には、中心となる「これ」がひとつあります。お寺だったり、塔だったり、ひとつの有名な景色だったり。そして、それ以外のすべては、そこへ向かう道のりにすぎません。けれど箱根は、そういう作りにはなっていません。「これを見に来た」という一点が存在しないのです。あるのは、ひとつの円です。正面から登るには急すぎる斜面を、小さな赤い電車が前へ後ろへと向きを変えながら登っていきます。そこから、鋼のロープで山腹を引き上げられるケーブルカーに乗り換えます。さらにもう一度、ロープウェイへと乗り換えます。尾根からふわりと浮き上がり、湯けむりを上げる谷の上をゆっくりと渡っていくガラスのゴンドラです。湖を渡る船に乗り込み、最後はバスに揺られて出発した場所へと戻ってきます。この「巡ること」そのものが、目的なのです。道のりのどこかで、終わりでも途中でも、好きなときに服を脱いで湯に沈みます。それが、この旅ぜんたいの眼目です。

なぜひとつの地域がまるごと環のような形をしているのか。箱根のような場所に人が何を求めて通ったかを知ると、この形の理由が分かります。東京から気軽に逃れられる場所になるよりもずっと前から、箱根は「癒やしに行く場所」でした。昔の言葉でいう「湯治」です。何日もかけて温泉のそばに腰を据え、繰り返し湯に浸かり、体を回復させ、心の張りをほどいていくことを意味しました。この古い感覚では、温泉はただの楽しみではありませんでした。わざわざ旅をして、そこに滞在してこそ得られる、いわば一種の薬だったのです。

そして実際、人はよく旅をしました。日本の昔の大きな街道「東海道」は、この山々をまっすぐ越えていました。江戸(今の東京)と西をゆき来する人のほとんどが、ここを通ったのです。箱根は、その街道のなかでもいちばんの難所でした。急な峠が壁のように連なり、時の為政者は誰が越えていくかを見張るため、湖のほとりに関所を置きました。登りで疲れ果てた旅人たちは、今もここで人々がしていることと同じことをしました。立ち止まって、湯に浸かったのです。これらの温泉は、はじめ「箱根七湯」と呼ばれていました。今ではこの一帯に十七の泉があり、合わせると国内のどの温泉地より多くの客が泊まります。

あの小さな電車で山を登るのは、観光地へ向かう途中の寄り道ではありません。湯にたどり着くために登る。何世紀も繰り返されてきたことを、いまの形でなぞっています。そう思って眺めると、この場所はまるで姿を変えます。終電までに回りきる観光地という顔をやめ、ゆっくり巡って安らぎにたどり着く場所に戻ります。

現地では何が起こるか

ステップ1: 玄関口に降り立つ

多くは東京からですが、その道のりからもう旅は始まっています。新宿から「ロマンスカー」という特急電車が山あいへと走り、いちばん速いもので一時間ちょっと。降り立つのは「箱根湯本」、斜面が両側からぐっと迫り、ホームのすぐそばを川が音を立てて流れる、玄関口の駅です。

湯本は十七のお湯のなかでもっとも古く、ここの温泉は八世紀、738年ごろにはじめて開かれたと言われています。そして、山を登るすべての路線が、ここから始まります。駅を出ると、町は狭く急で、川の谷あいに押し込められるように立て込んでいます。戸口に暖簾を下げた湯宿、蒸したての饅頭やこの地域で知られる寄木細工を売る店々。そして寒い朝には、ほのかな硫黄の匂いと、すぐそこの見えないどこかから流れてくる湯けむり。

すぐに次の電車へと急ぎたくなりますし、もちろんそうしてもかまいません。けれど湯本は、急がずに歩き出すほど面白い町です。ここは「湯治」の入口、昔の街道を旅した人々が、疲れ果ててたどり着き、ようやく肩の力を抜いた場所なのです。切符や乗り継ぎの実務は、下の「知っておくと安心なこと」にまとめました。ホームに立つあなたが本当に分かっておけばよいのは、これだけです。山の麓に着いたこと、そしてこの先はすべて登りになるということ、それだけです。

ステップ2: 乗り換えを重ねながら、山を登る

ホームに停車する赤い箱根登山鉄道の電車。開いたドアのそばに車掌が立っている
ホームに停車する赤い箱根登山鉄道の電車。開いたドアのそばに車掌が立っている

最初の登りが、いちばん美しい区間です。1919年に開業した箱根登山鉄道は、まっすぐには登れない斜面と向き合った、小さな山の電車です。だから、まっすぐ登ろうとはしません。登る途中、三度、線路は行き止まりにぶつかります。運転士と車掌が車両を端から端まで歩いて役割を入れ替わり、電車は向きを逆にして、次の区間をさらに高く登り続けるのです。この動きは「スイッチバック」と呼ばれ、これによって、千メートル進むごとに八十メートル登るという勾配を克服しています。ふつうの車輪とレールで走る日本の鉄道としては、いちばん急な登りです。六月は線路わきがあじさいで埋まり、この電車は国内でも指折りの被写体になります。

登る途中、路線は「宮ノ下」を通ります。明治時代、古い西洋式ホテルを中心に山のリゾートへと姿を変えた村です。そのころの雰囲気が、いまも残っています。骨董店、ほのかな異国の香り、長いあいだ客を迎え続けてきた高原の保養地の趣。鉄道の終点、強羅でケーブルカーに乗り換えます。階段のように斜面に段々と連なる車両が、十分ほどでさらに二百メートルあまりの高さを引き上げてくれます。

そして「早雲山」でケーブルカーが終わると、いちばん不思議な区間が始まります。あなたはロープウェイ(尾根からふわりと浮き上がり、足もとの地面がすうっと遠ざかっていくガラスのゴンドラ)に乗り込みます。ここまでで、あなたはもう四回も乗り物を変えてきました。そして、その小さな煩わしさを感じ始めているかもしれません。待ち時間、ホームからホームへと荷物を運ぶ手間。けれど、乗り換えるたびに景色が変わっていることに気づきます。湯本の濃い緑は、強羅のリゾートの森になり、早雲山のむき出しの尾根になり、そしていま、ゴンドラが登るにつれて、行く手の山肌は灰色のあらあらしい色に変わり、煙を上げ始めます。いつのまにか、駅を数えるより足もとの大地の移り変わりを見るようになっています。

ステップ3 火と水と、見えるとは限らない富士山

硫黄の筋が走る、むき出しの大涌谷の斜面から立ちのぼる蒸気。谷の下には黒たまごの売店と観光バスが見える
硫黄の筋が走る、むき出しの大涌谷の斜面から立ちのぼる蒸気。谷の下には黒たまごの売店と観光バスが見える

ゴンドラが尾根を越えると、緑は消え、眼下の斜面は灰の色に変わり、黄色い筋を走らせながら、無数の裂け目から一斉に蒸気を噴き出します。これが大涌谷です。およそ三千年前、火山が自らの山腹を吹き飛ばしたときに引き裂かれてできました。いまも働き続けている山で、ゴンドラはその真上を渡っていきます。

頂上、千メートルを超える峰の肩のあたりで、人々は黒たまごを求めて列を作ります。ここの熱い池でゆでた卵は、お湯のなかの鉱物で殻が真っ黒に染まって出てきます。ひとつ食べると七年寿命がのびる、というのが土地の言い伝えです。この七年という数字には、いわれがあります。近くには寿命をのばす「お地蔵さま」の小さな像があり、七は昔から縁起のよい数です。そのふたつのあいだのどこかで、この言い伝えが育っていったのです。五個ずつ買うと、手のなかであたたかく、黒い殻が指について剥がれます。

谷は生きているからこそ、いつも思いどおりにはいきません。風の強い日や、火山ガスの濃度が高くなった日には、ロープウェイはあっさりと止まります。ときには数時間、ときには一日じゅう。もしそれにあたってしまっても、その日が台無しになったわけではありません。山がまだ生きていること、それでも人が隣で暮らしていることを思い出す日になります。(ロープウェイが止まっているときも、バスや道路で環のかなりの部分は回れますし、公式サイトが毎朝その日の運行状況を載せています。)

ロープウェイは「桃源台」で終わります。「芦ノ湖」のほとりです。古い火山の火口を満たした湖で、およそ三千年前に山の一部が崩れたときにできた窪地に水が集まったものです。ここから先は、乗り物も景色もがらりと変わります。ゴンドラを船に乗り換えるのです。よく、帆船のように仕立てられた色あざやかな船で、静かな水面を渡って向こう岸を目指します。

湖のなかに、水に裾を浸して立つ赤い鳥居があります。「平和の鳥居」です。これは「箱根神社」のもので、神社はほとりの上の杉林の奥に鎮座し、その社伝によれば757年に創建されました。神社には、なぜ鳥居が湖のなかに立つのかを語り伝える物語があります。むかし、この湖には九つの頭をもつ龍が棲み、ほとりの人を苦しめていましたが、万巻という名の僧が祈りによってこれを鎮めたといいます。龍は頭を垂れ、降伏し、湖の守り神となって、それ以来「九頭龍」(九つの頭の龍)として祀られてきました。神社はいまも毎年夏、湖の上でこの龍のお祭りを行います。水から立ちのぼる鳥居は、人の岸と龍の湖とを分ける境目にあたります。(神社と湖のほとりの鳥居に心ひかれたら、まず日本のお寺や神社をたずねるときのちょっとした心づかいに目を通しておくとよいでしょう。)

そして湖の向こうには富士山。ただし、晴れた日にかぎります。絵はがきには写らない話をすると、富士山は一年の多くを雲の向こうに隠していて、いちばん頑固に隠れるのが暖かい季節なのです。山の全体を見られる可能性がいちばん高いのは、晩秋から冬にかけての冷たく乾いた空気のときです。この土地では、富士山が見えるかどうかをやさしく受け止めます。当たり前の権利というより、ご縁のようなものと考えるのです。もし山が水の向こうに姿を見せてくれたなら、その日は恵まれた一日です。見せてくれなくても、湖と、鳥居と、杉木立があるだけで、訪れる理由は十分にあります。富士山をはっきり見たいなら、山がどんなふうに姿を見せたり隠したりするのか、そして一年のうちでいつ空気がいちばん澄んでいるのかを知っておくとよいでしょう。

ステップ4: お風呂、そしてひと休み

この周遊のどこかで、この一帯がそのために作られたただひとつのことをします。お湯に入ることです。

箱根の温泉はひとつではありません。松山の道後温泉のような由緒ある一軒の公衆浴場とは違い、山じゅうに散らばる十七の異なるお湯です。透き通ったもの、白く濁ったもの、ほのかに鉱物を含むもの。毎日、何万トンもの湯を地面から汲み上げています。湯本、強羅、宮ノ下、小涌谷。地区ごとにお湯の性質が違い、地区から地区へ移り歩くのが湯治の楽しみでもありました。うまく選ぶ必要も、その違いが分かる必要もありません。ただ、入ればいいのです。この「お湯からお湯へ移り歩く」感じに心ひかれたなら、まったく別のかたちの温泉旅もあります。城崎温泉の夜です。乗り物で巡る箱根とは対照的に、こちらは町ぜんたいがひとつの宿として営まれ、浴衣のまま歩いて外湯から外湯へとめぐっていきます。さらにその先、九州の別府温泉では、お湯とのつきあい方がまったく違う顔を見せます。町ぜんたいが、あまりに熱い大地の上に築かれていて、毎朝、通りのあちこちから湯けむりがひとりでに立ちのぼり、そのお湯の多くは、浸かるためというより、ながめるためのものなのです。

もし日本のお風呂がはじめてなら、ちょっとした作法があります(湯に入る前に体を流すこと、小さなタオルをお湯につけないこと)。規則というより、みんなの湯を気持ちよく保つための心づかいだと思えば十分です。日本のお風呂でみんなが実際に何を考えているのかについてはそれだけで一本書いていますし、タトゥーがある方は、それが日本の温泉とどう折り合うかを出かける前に知っておくとよいでしょう。不安でも大丈夫です。誰でも、はじめてのときは勝手が分からないものです。

ここはまた、日帰りの人と、泊まる人とで道が分かれ始める場所でもあります。箱根で一晩泊まること、多くは知っておく価値のある独自のしきたりをもつ「旅館」でのことですが、それは湯治の旅人と同じことをするということです。夕方に湯に浸かり、眠り、夜明けにもう一度浸かる。あいだに一晩の眠りをはさんで二度沈み込むお風呂は、終電を気にして駆け足で入るお風呂とは、まったく別のものです。朝になっても山はそこにあります。その一晩だけは、急がなくていいのです。

ステップ5: 環が閉じる

湖からバスで箱根湯本へ戻り、ひと回りが終わります。知っておくとよいのは、この環が地理の偶然でなく、この地域が意図して作り上げたものだということです。電車、ケーブルカー、ロープウェイ、船という一連の連なりは1960年に完成し、来た道を引き返さずに一周できるよう、つなぎ合わされたものです。

ふたたび麓にたどり着くころには、あなたはすべてをやり遂げてはいないでしょう。風でロープウェイが止まってバスに回ったかもしれないし、富士山は最後まで雲の中だったかもしれません。黒たまごの行列や鳥居の撮影で、ほかに使うはずだった一時間が消えたかもしれません。それは、ただ箱根での一日のふつうの形にすぎず、失敗ではないのです。この周遊がありがたいのは、どれかひとつが見られなくても成り立つからです。

持ち帰るのは、ゆっくり登って湯に浸かった一日ぶんの、肩の軽さです。東海道の難所を越えた旅人が、立ち止まって湯に浸かり、持ち帰ったのと同じものです。あなたは山を巡りました。そして、安らぎにたどり着きました。箱根では、それこそがいつも、すべてだったのです。

行ってきた人の本音

旅の計画を立てる前に、実際に行った人の声を見ておきましょう。実際に箱根を訪れた海外旅行者の声を186件集め、それぞれが他の読者にどれだけ強く響いたかで重みづけすると、こんなふうに分かれました。

行く価値あり:ゆっくり巡る周遊、温泉、静けさが一番の思い出
59%
どう回るか、いつ行くか次第
26%
がっかりした:観光地化されすぎ、移動だけの一日
15%
声の出どころ:箱根を実際に訪れ、Redditに感想を書いた海外の旅行者です。186件の声を、共感の多さで重みづけして集計しました。アンケート調査ではなく、実際の口コミを集めたものです。反応数が表示されていない声は1件として数えています。

緑の帯に多いのは、どちらも時間の話です。かける時間と、行く時期。「ロープウェイからの眺め、湖の遊覧船、箱根神社。そこまでの苦労を入れても100%行く価値があった」とある人は書きました。細い赤の帯は、避けられるひとつのすれ違いを語っています。乗り継ぎに追われる慌ただしい一日です。「いろんな乗り物を乗り継いで、一日中ただ移動して並んでいただけのような感じだった」、「あの日がいちばんがっかりした」とある人は書きました。一泊すること、そして周遊路まるごとの切符を一枚買うこと、それがほとんどの解決策です。

同じ湖や谷について、日本人が自分の口コミで書くと、評価はもっと温かくなります。

大切な場所:ゆっくり巡る周遊と湯につかること、それ自体が目的
64%
時と場合による:天気、混雑、タイミング
31%
しんどかった日(運の悪い日、人混み)
5%
声の出どころ:箱根の湖・谷・遊覧船を訪れた日本人の旅行者や地元の人が、口コミサイトに書いた声です。60件を、共感の多さで重みづけして集計しました。アンケート調査ではなく、実際の口コミを集めたものです。反応数が表示されていない声は1件として数えています。

日本人の声は、個々の見どころより周遊そのものをほめています。「小田急3日間乗り放題チケットでロープウェイと海賊船に乗りまくった」とある人は書きました。「サイコーの三日間だった。また行きたい」。小さな赤い帯の中身は、周遊そのものというより曇り空の話です。「霧がでていて富士山は見れませんでしたが、霧のなかに海賊船が見え幻想的でした」と、霧の日に訪れた人が書いています。海外旅行者が出会ったのと同じ雲に隠れた富士山を、がっかりというより景色として受け止めているのです。

がっかりの中身とその避け方は、箱根は行く価値ある?にまとめています。

知っておくと安心なこと

行き方: 箱根は東京の南西、神奈川県の山あい、富士箱根伊豆国立公園のなかにあります。玄関口は「箱根湯本」駅です。新宿から、小田急の「ロマンスカー」特急がいちばん速いもので約75分で箱根湯本に着きます。これには基本運賃に加えて、別途、座席指定の特急券が必要です。もう少し安く済ませるなら、ふつうの小田急電車で小田原まで行き、そこで箱根登山線に乗り換える方法があります。電車・乗り換え・お得な切符の全体像については、日本での移動のしかたをご覧ください。

箱根フリーパス: ほとんどの方は、小田急が販売する「箱根フリーパス」でこの環を巡ります。これは実質的に、この地域のつながった八つの交通機関(登山電車、ケーブルカー、ロープウェイ、芦ノ湖の観光船、そして指定のバス)のセット切符で、二日間または三日間の連続したあいだ自由に乗り降りでき、さらに出発駅からの小田急の往復が含まれます。ロマンスカーの特急券は含まれず、これは別途買います。また、箱根の多くの美術館やスポットで割引入場が受けられます。料金は新宿から出発するか小田原から出発するかで異なり、ときどき改定されるので、買う前に公式の金額を確認してください。

環の巡り方: 定番のルートは反時計回りです。箱根湯本から登山電車で強羅へ、ケーブルカーで早雲山へ登り、大涌谷の上をロープウェイで桃源台へ、芦ノ湖を船で渡って元箱根または箱根町へ、そしてバスで湯本へ戻る。どちらの向きでも巡れますし、運行会社自身も、混雑を分散させるため、いちばん混む日には時計回りを勧めています。途中の立ち寄りを含めて環をまるごと見て回ると、ゆったりとした丸一日になります。湖や美術館でゆっくり過ごしたいなら、もっと余裕をみてください。

大涌谷とロープウェイ: この谷は、千メートルを超える高さにある活火山地帯です。その上を渡るロープウェイは、強風や火山ガスの上昇で急に止まることがあり、まれに谷そのものが立ち入り制限になることもあります。これらは先々まで予測できるものではないので、行く予定の朝にロープウェイの公式運行状況ページを確認し、運休のときは、一日が台無しになったと思わず、予定が変わっただけと考えてください。黒たまごは谷の売店で、ふつう一袋に四個か五個入りで、その日売り切れるまで販売されています。

芦ノ湖と箱根神社: 神社は元箱根の上の森のなかにあり、その赤い鳥居が湖のなかにくっきりと立っています。境内は日中の時間帯に開いており、湖のほとりの鳥居は長い列ができることもある有名な撮影スポットです。工事のため一時的に立ち入りできないこともあるので、当日に確認してください。観光船は桃源台と元箱根・箱根町を結んでいます。東海道の江戸時代の関所を忠実に再現した、昔の「箱根関所」は、箱根町のほとり近くに建っています。

美術館: 箱根は、めずらしいほど芸術に恵まれた土地です。「箱根 彫刻の森美術館」(1969年開館、日本初の野外彫刻美術館で、ピカソに捧げた館があります)と「ポーラ美術館」(2002年開館、仙石原の森のなかにあり、印象派に強い)が、もっともよく知られた二館です。どちらもおおむね9:00〜17:00開館で、最終入場は16:30ごろまで。入場料は数千円ほどで、多くがフリーパス割引の対象です。最新の開館時間・休館日・料金は、各美術館のサイトで確認してください。

いつ行くか、どれくらい滞在するか: 箱根は一年を通して楽しめる場所ですが、空気がいちばん澄んでいて、富士山が見られる可能性もいちばん高いのは、晩秋から冬にかけての寒い季節です。早めに出発し、美術館や一部の施設が夕方には閉まることを受け入れれば、日帰りでも成り立ちます。一晩泊まれば、温泉がもともとそのためにあった、あのこと(夕方に浸かり、夜明けにもう一度浸かること)ができますし、もともと、そうやって過ごす土地なのです。

最終確認: 2026年6月

公式ウェブサイト: hakone.or.jp (箱根町観光協会)、hakonenavi.jp (電車・ロープウェイ・船)、odakyu-freepass.jp (箱根フリーパス)

思いどおりにいかなかったときは

富士山がとうとう現れなかった。 これは箱根でいちばんよくあるがっかりですが、いちばん心の折り合いをつけやすいものでもあります。富士山は一年の多くを雲に隠れていて、一度の訪問で見られるかは正直、運次第です。空気が澄むのは冷たく乾いた季節で、夏はいちばん当てになりません。この土地の受け止め方にならうのが、いちばん気楽です。山が見えるのは幸運であって、約束されたものではありません。湖も、鳥居も、杉の森も、お湯も、すべてちゃんとそこにあります。そして、それらこそが、訪れる本当の理由だったのです。

大涌谷の上のロープウェイが止まっていた。 これはよく起こります(風、火山ガス、点検)。この谷は生きている火山だからです。それでも、環を失ったわけではありません。ロープウェイが止まっているときも、バスや道路が環のかなりの部分に通じていますし、黒たまごや谷の眺めもたいていは楽しめますし、箱根の残りの部分(登山電車、湖、お風呂)はいつもどおり動いています。朝に運行状況を確かめて、止まっている区間を迂回してください。

人混みと行列に圧倒された。 箱根は東京からいちばん近い山あいの行き先なので、週末や祝日には電車も船も撮影スポットも混み合います。湖のほとりの鳥居や黒たまごの写真の列は、長くなることがあります。平日に、早めのスタートで出かけること、これがいちばんシンプルな解決策です。もし人混みにはまってしまったら、こう思い出すと気が楽になります。箱根のいちばんいいところは、展望スポットより一日の終わりのお風呂です。人の波が引いていっても、お湯は引いていかないのですから。

バスが遅れて、全部は回りきれなかった。 山道とびっしり詰まった時刻表のせいで、乗り換えはずれ込むことがあります。とくに混雑時はそうです。一日に余裕をもたせ、周遊のあとに当日の乗り継ぎを詰め込まず、全部回ることはあきらめましょう。箱根は、もともとチェックリストを完了させるための場所ではありませんでした。この地域は、駆け抜けるためというより、滞在するために作られているのです。

雨が降った、あるいは山が霧に隠れた。 箱根はしばしば霧に包まれますが、その多くは、霧があったほうがいっそう美しいのです。雲のなかに半ば溶けた鳥居、しずくを落とす静かな森、灰色の空を背に、いっそう濃く立ちのぼる大涌谷の蒸気。美術館は雨の日にうってつけの避難所ですし、雨のなかの温泉は、むしろいいくらいです。お天気に左右されるのはロープウェイと船だけなので、その二つだけ気にして、あとの一日はゆるく組んでおきましょう。

はじめての温泉に緊張している。 ほとんど誰もがそうです。慣れないお風呂に挑む日本の人だって同じです。作法は一度見てしまえばかんたんで、それは本当に、ただ、湯を分かちあう人たちへの心づかいにすぎません。日本のお風呂でみんなが何を考えているのかについて、そして、タトゥーがある方にはほとんどどこでも通用する選択肢について書いていますので、心配せずに一歩を踏み出せます。


Sources:

  • Hakone Tourism Association: Official: The seventeen hot-spring waters (Hakone Jūnana-yu) and the older Hakone Nanayu; Hakone as the country's leading hot-spring region by lodging, capacity, and overnight guests; Yumoto opened in 738; Miyanoshita as a Meiji-era resort around a Western-style hotel; Lake Ashinoko as a caldera lake; the mountain railway's 8.9 km / ~40 min run, 1919 opening, ~80‰ grade and three switchbacks; the cable car's ~1.2 km / ~10 min climb (pages /6882, /6411, /6413, /6412, /6415, /9407, /9412)
  • Hakone Navi (Odakyu Hakone): Official: Specifications and connections of the Tozan train, cable car, ropeway, and pirate boats; the switchbacks at Deyama, Ōhiradai, and Kami-Ōhiradai; the "Hakone Golden Course" loop completed in 1960; counter-clockwise classic route and clockwise advice for busy days; model courses
  • Hakone Ropeway: Official (Hakone Navi): Four-station route over Ōwakudani; closures for strong wind and weather; real-time volcanic-gas display and the note that gas level and eruption-alert level are not directly linked
  • Odakyu: Hakone Free Pass (Official): The Free Pass covering eight modes of transport plus the Odakyu round trip; two- and three-day validity; Romancecar express ticket not included; discounts at around seventy facilities; fares differing by departure station (subject to revision)
  • Odakyu Global: Hakone Free Pass & Romancecar (Official): Romancecar from Shinjuku to Hakone-Yumoto in about 75 minutes at its fastest, with a separate express ticket required; English-facing fare and validity details (current as of June 2026)
  • Ōwakudani Kurotamago-kan: Official: The valley's formation about 3,000 years ago by a phreatic explosion; the black eggs (shells blackened by minerals in the hot pool) sold in packs at the valley; the seven-years saying linked to the local life-lengthening Jizō and to seven as a lucky number
  • Kanagawa Park Association: Ōwakudani Information Center (Official): Ōwakudani at an elevation of 1,040 m and its harsh upland climate
  • Hakone Shrine: Official: Founding in 757 (Tenpyō-hōji 1) by the monk Mangan on the shore of Lake Ashinoko; the Kuzuryū (Nine-Headed Dragon) legend of the lake and its subjugation; the annual lake festival; the Torii of Peace among the precinct features
  • Hakone Checkpoint (Hakone Sekisho): Official, Hakone Town: The Edo-period Tōkaidō barrier on the shore of Lake Ashinoko and its faithful reconstruction from the original repair records
  • Ministry of the Environment: Fuji-Hakone-Izu National Park (Official): Hakone as part of Fuji-Hakone-Izu National Park, alongside the Mount Fuji area; volcanic landscape of the park
  • JNTO: Hakone & Fuji-Hakone-Izu (japan.travel): English-facing overview of the park, Lake Ashinoko as a caldera lake formed by the collapse of part of Mount Kamiyama, and Ōwakudani as a steaming volcanic valley
  • 箱根は行く価値ある? (WMJS): 「行ってきた人の本音」で使用した2本の声ゲージ(海外旅行者186件 59/26/15、日本人60件 64/31/5)と逐語引用の出典

画像クレジット:芦ノ湖と富士山、箱根神社の鳥居(ヒーロー画像)は WorldContributor 撮影、CC BY-SA 4.0、Wikimedia Commons より。箱根登山鉄道の電車は Kuroc622 撮影、CC0(パブリックドメイン)、Wikimedia Commons より。大涌谷の火山地帯は Joli Rumi 撮影、CC BY-SA 4.0、Wikimedia Commons より。

WMJSは日本人が英語で書き、AIの力を借りて日本語にしています。日本人の目で確かめていますが、翻訳の癖が残っている文があるかもしれません。気になる一文があれば教えてください。一文で十分です。

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