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WMJS
The clear Oirase Keiryū stream rushing in white water over moss-covered boulders between forested banks, Aomori
どこへ行くか

東北、深い北へ

芭蕉が読んだように読む、日本の静かな北。仙台と彼を黙らせた湾、山の寺と大正の温泉の夜、平泉の黄金の廃墟、そして最北の城の国を、ゆっくりと、季節とともに

最終確認: 2026-06-28

日数
5日。北へ上がって最上部で抜けます(仙台と松島、山形の翼、平泉、最北、そして湖)。到着から出発まで、自由に組み替えられます。東北はもともと広くゆったりした土地なので、これはきっちり回るループというより、急がない枠組みです
ベストシーズン
ここでいちばん効いてくるレバーです。京都から数週間遅れて届く弘前の桜なら四月下旬、飛び込んで加われる夏の大祭なら八月上旬、十和田・奥入瀬の紅葉なら十月の半ばから下旬、銀山のガス灯に照らされた雪や蔵王の樹氷なら十二月から二月。どの東北に出会えるかは、季節が決めます
拠点
最初の数泊は仙台に(すべての路線がここから出る拠点です)、そのあと銀山温泉に一泊してガス灯の夜を味わい、青森か弘前で北の一夜を。平泉か盛岡は、ちょうどよい中継地になります
移動手段
東北新幹線が大動脈で、そこにローカル線と、いくつかの山あいのバスが翼を添えます。IC カード(Suica)は場所によっては使えますが、どこでもというわけではありません。山形の翼と、そこを走る小さなバスは現金と紙のきっぷの世界なので、少しは持っておいてください。車は必要ありません

このプランが合う人

  • 初めての日本よく合う
  • リピーターぴったり
  • 子ども連れよく合う
  • ひとり旅ぴったり
  • ふたり旅ぴったり
  • ゆったりペース主役ではない
行く時期Year-round, season-led

The season makes the trip: late April for Hirosaki's blossom (weeks after Kyoto's), early August for the great festivals you can join, mid-to-late October for the Towada-Oirase foliage, and December to February for Ginzan's gaslit snow and Zaō's frost-trees.

東北は、人が「深い北」と呼ぶときに思い浮かべる、あの日本です。東京の上に広がる、長くまばらな土地。俳人・松尾芭蕉が元禄二年(1689年)に歩き、日本語の古典『おくのほそ道』へと結晶させた、その北の国です。行く前に知っておいてほしいのは、東北は静かだということ。東京や京都の密度のあとでは、最初の反応が「これで全部?」になることもあります。小さな松の島々が浮かぶ湾、長い石段の上にひっそり建つ寺、古い宿が並ぶ短い一本道、写真にも収められない金色の堂。けれど、その静けさこそが核心で、芭蕉がその証しです。彼が北へ向かったのは、名所を数えて回るためというより、言葉ではうまくつかめないものを感じたかったからでした。美しすぎて言葉を失った湾、消えた黄金の都に生い茂った草、山肌の静けさをただ一句に封じ込めた、あの永遠の一行。芭蕉が読んだように東北を読むこともできます。ゆっくりと、一日にひとつ、見せ場よりも、そこに残る気配と季節のために。すると「空っぽ」に見えた北は、私にとっては、日本のいちばん読み解きやすい場所へと変わります。ここでは、ほとんど何ひとつ手つかずの自然ではありません。松の島々は剪定され、街の木々は植えられ、金は一枚ずつ貼られ、古い通りは法によってまるごと守られ、城は文字どおり動かされました。人の手が入り続けてきた原野であり、その手入れそのものが、この土地の意味なのです。

かたちは、地図から想像するよりもやさしくつながっています。ほとんどすべてが仙台を起点に動きます。東京から気軽に北上して着く、緑の都です。そこから東北は二方向へ引かれていきます。西へは山形の山あいへ、芭蕉の山寺と、灯火に照らされた温泉の夜へ。北へは新幹線の大動脈をたどって、平泉の黄金の廃墟を抜け、最北の城下町・弘前とその先の湖へ。私はこれを、北へ上がっていって最上部で抜ける、五日間の枠として持っておきます。ふたたび南へ下って東京へ、あるいは海の下をくぐって北海道へ。まず決めておきたいのは「どこへ」ではなく「いつ」です。日本のほかのどこにも増して、東北は季節そのものが姿を変えるからです。京都の桜が散って数週間ののちにここへ届く四月下旬の花、見るというより、自分から飛び込んで加わる八月の巨大な祭りの夜、北の渓谷が燃え立つ十月半ばの紅葉、そして十二月からのガス灯の街並みと霧氷に彩られた深い雪国。私がどう動き、どこに泊まり、正直に引き返す区間はどこで、季節がそのすべてをどう塗り替えるのかをお伝えします。あなたの日程に合わせて、ばらして組み直してみてください。

拠点をどこに置くか

東北でどこに泊まるかは、つまるところ、鉄道地図が見せるよりも広くて人けの少ないこの地方をどう区切るか、という問いです。でも、地理には分かりやすい起点と、分かりやすい終着があります。

仙台が拠点で、私ならここから始めます。 東北の南の門であり、すべての路線が通る街です。新幹線の大動脈も、松島湾へ向かうローカル線も、山寺へ西へ抜ける山の線も、みな仙台駅から出ます。だから最初の二泊はここに。街そのものと湾を、日帰りの動きに使います。この旅でいちばん温かく、いちばん緑ゆたかで、いい意味でいちばん普段どおりの街でもあります。静かな北へ入る前に、気楽に降り立てる場所です。

そして正直なところ、北海道と同じかたちです。仙台から、この地方は正反対の二方向へ引かれます。 山形の山あい、山寺と銀山温泉は西。平泉と最北は新幹線の大動脈沿い。西の翼をそのまま北の行程へつなぐには、いったん仙台・山形のあたりまで戻ってこないといけません。だから私は山形側を、行って戻ってくる西へのループとして扱い、そのあとで北へ上がります。ここだけは動かさないと決めているのが銀山温泉です。とても小さな町なので早めに予約を。その魔法のすべて(川面にガス灯がともるところ、冬なら雪も)は、最後の日帰り客のバスが去ったあとに泊まる客のものだからです。銀山を日帰りで訪ねると、この町が愛されている、あの夜を置いていくことになります。

最後の数泊は最北のものです。ねぶたや湖を目当てに来たなら青森(祭りの博物館が駅のすぐそばです)、城下町を味わうなら特急でもう少し先の弘前へ。ここまで来れば、旅は自然に終わりを迎えます。ふたたび南へ下って東京へ、あるいは海の下をくぐって北海道へ。(このルート上の立ち寄り先のうち、四つには WMJS の完全なガイドがあります。仙台・松島、銀山、平泉、弘前です。これらはリンクを張っておきます。山寺、青森、十和田・奥入瀬の湖は、まだガイドが書けていないので、リンクは張らず正直に名前だけ挙げておきます。)

移動ときっぷ

東北は東北新幹線で動き、この旅ではその路線が大動脈になります。東京から仙台へ、そこから平泉のための一ノ関へ、そして本州の最上部・新青森まで運んでくれます。二つの翼には、ローカル線といくつかの山あいのバスが添います。いちばん速い列車(はやぶさ)は全車指定です。自由席はありません。ですから、あらかじめ席を押さえておきます。少し遅いやまびこには自由席の車両が残っています(くわしくはファクトボックスに)。

カードをタッチする前に理解しておきたいことがひとつ。 東北は東京のようなタッチ&ゴーの世界ではありません。Suica のような IC カードは、仙台のまわりや最北のところどころといった、限られた区域でしか使えません。別々の区域をカードでそのまま乗り継ぐことはできないので、タッチした乗車と下車が別の区域だと、改札で止められてしまいます。とくに山形の翼、山寺へ向かう線や、銀山温泉へ上がる小さなボンネットバスは現金と紙のきっぷの世界で、あの銀山のバスはカードをいっさい受けつけません。どれもむずかしくはなく、少し現金を持ち、ときどき紙のきっぷを買っておく、というだけのこと。それで山あいの改札での戸惑いをひとつ減らせます。これだけ長いルートには意味のある地域レールパスもあります。ただ東北エリアのパスは最近つくり直されたので、古い数字を信じるより、公式ページで今のJR East Passの値段を確かめておきます(ファクトボックスに)。

車は必要ありません。 大動脈と翼が、このルート上のすべてを鉄道と時おりのバスでカバーします。車があると助かるのは十和田・奥入瀬の裏道をめぐるときくらいで、そこも季節運行のバスが渓谷を走っています。

見るというより、感じることがひとつ。東北は、別のテンポで動いています。列車は少しだけ本数が少なく、町は少しだけ静かで、距離は少しだけ長い。そのゆっくりさは、欠点どころか、この土地の手ざわりそのものです。芭蕉はあなたが五日で乗るところを、五か月かけて歩きました。せめて、静けさのために置かれた道のりだけは、急がずにいたいものです。

仙台、そして俳人を黙らせた湾

An elevated dusk view of Matsushima Bay, pine-clad islets scattered across calm mirror-like water with a few small tour boats

初日は仙台松島に、深い北へのやさしい南の門に、そしてこの旅の最初の教えに充てます。その教えとは、ここでは美しささえ人がつくったものだ、ということ。仙台は杜の都。緑ゆたかな並木は、戦国大名・伊達政宗が始めた四百年来の習わしで、1945年に焼き払われ、あえて植え直されました。だからあなたが下を歩く緑は、意図をもって育て直された街なのです。それから松島湾へ。松をいただく島々が点々と散らばり、古くから日本三景に数えられ、そして名高いことに、芭蕉に一言も書かせなかった場所です。(観光客が松島で口ずさむ短い句は、実は彼の作ではありません。ほんとうの敬意は、彼の沈黙のほうにあります。) 気軽な旅行者は混み合う岸辺から島々をちらりと見て、「きれいだけど、小さいな」と思います。そこでのこつは、水の上に出て、丘の眺めまで登ること。すると湾がまるごと開けて見えます。そうしたら、あの俳人のように、ただ眺めてみてください。

  1. 到着したら東京から、杜の都へ東北新幹線が、東京から仙台まで二時間かからずに運んでくれます(列車の種類と運賃はファクトボックスに。速い はやぶさ は全車指定です)。荷物を仙台駅の近くに預けたら、ケヤキの並木が屋根のようにおおう大通り、定禅寺通りを歩いてみてください。街に古い名を与えた緑が、戦後によみがえっています。地元の昼ごはんには、牛タンの焼き串を一本か二本。
  2. お昼どき松島湾へ、駅にご注意をローカル線に乗って湾へ。ここで落とし穴に気をつけて。湾のそばの駅は松島海岸で、内陸の「松島」駅ではありません(ファクトボックスに)。桟橋からは遊覧船が、剪定された松の島々を縫っていきます。そして政宗が1600年代初めに再建し、いまは国宝となった堂宇が並ぶ禅寺瑞巌寺が、内陸へ数分歩いたところに佇んでいます。
  3. 午後おそめに丘へ、そして沈黙湾の丘の上の展望台のひとつ(西行戻しの松か大高森)へ登れば、にぎやかな波止場とは違って、松島がひとつの絵として広がって見えます。近くで見て物足りなかったとしても、心配はいりません。芭蕉その人でさえ、ここで言葉を途中で止められたのですから。くわしい物語と、どの眺めがどれなのかは、ガイドにあります。仙台・松島

山形の翼、千段の石段と、大正の夜

The wooden halls of Yamadera (Risshaku-ji) perched on a rocky cliff ledge amid dense green forest above the valley

今日は旅が西へ折れて、山形の山あいへ入ります。正直に言うと、これは折り返して戻ってくるループです。でも、芭蕉その人がたどったループでもあります。北の道を離れて出羽の山々へ入っていった、あの道。だから旅からそれる寄り道というより、旅そのものにふさわしい道なのです。午前は山寺(立石寺)。断崖に縫いつけられたような寺で、古い山の修行では、その長い石段を登ること自体が肝心でした。頂上の静けさは、芭蕉がいちばん知られた一句に捉えた、まさにその静けさです。「静かさや岩にしみ入る蝉の声」。午後は銀山温泉へと運ばれていきます。そこでは夜こそがまるごとのご褒美。一世紀前のままに守られた木造の温泉街。そのガス灯は、そして冬なら降る雪は、日帰り客が最後のバスをつかまえて下りていったあとに泊まる人たちのものです。

  1. 早めに西へ山寺、そして静けさへの登り山の線が、仙台から山寺まで一時間ほどで運んでくれます(ファクトボックスに)。上の堂宇までの登りは、杉と岩を抜けるおよそ千段の石段です。急がなければ穏やかで、朝の涼しさがそれをやるのにちょうどよい時間。全部登りきるのが大変なら、途中の岩棚から谷を眺めることもできます。(山寺にはまだ WMJS のガイドがないので、正直に名前だけ挙げておきます。)
  2. 午後銀山温泉へ山寺からは、山形を経て大石田へひと足戻り、そこからレトロなボンネットバスで谷を上がって銀山温泉へ(バスは現金のみで IC カードは使えず、小さいので、シーズンには時間に余裕を。ファクトボックスに)。とても小さな町なので、宿は早めに予約しておいてください。
  3. 夕方夜が主役の通り日が暮れると、川沿いにガス灯がともり、三階建て四階建ての木造の宿が水面に金色に映えます。銀山が愛される、あの光景。村が空になったあと、泊まる客だけが手にできる眺めです。湯につかり、食べて、静けさに仕事をさせてください。くわしい物語はガイドに。銀山温泉

平泉、黄金と草

The still Ōizumi-ga-ike pond of Mōtsū-ji's Pure Land garden at Hiraizumi, an upright shoreline stone among rocks, ringed by trees reflected on the calm water

大動脈へ戻り、岩手へ北上します。正直に言えば、午前は移動が多めになります。山形の奥から新幹線に戻るには、来た道を大きく折り返さなければならないからです。それでも私は、その引き返しを一度も後悔したことがありません。平泉は、一世紀のうちに興り、まばゆく輝き、消えていった北の黄金時代の都でした。残されたのは、ユネスコ世界遺産となった浄土仏教の景観。地上に築かれた極楽です。中尊寺の金色堂は、本物です。1124年に「敵味方の別なく」戦死者を弔うために内も外も金で覆われた堂で、京都の金閣のような近代の再建とは違い、まさにその十二世紀の建物そのもの。毛越寺は、静かな池を囲んで極楽の地図のように配された平安の庭を今に伝えています。そしてここは、芭蕉が廃墟のなかに立ち、日本人の半分がそらんじられる嘆きの句を詠んだ土地です。「夏草や兵どもが夢の跡」。生きた美しさが彼をここで黙らせ、失われた美しさが彼に言葉を与えました。初日の一対の、その後半なのです。

  1. 午前大動脈へ戻り、北の平泉へ銀山から大動脈へ折り返して下り、北の一ノ関まで乗り、そこからローカル線でひと駅、平泉駅へ(引き返しは覚悟のうえで、いちばんすっきりした道は当日の公式ルートプランナーに選ばせてください。ファクトボックスに)。この旅で、はっきり移動が多いのはこの午前だけです。
  2. お昼どき中尊寺と金色の堂木々の尾根を上がって、保護のための覆堂におさまった金色堂へ。中は撮影禁止で、それこそが贈りものです。写真ではなく記憶を持って帰ることになります。土日祝には、寺々と川辺を結ぶ小さな巡回バスが走ります(ファクトボックスに)。それ以外の日は、歩いてめぐれるひとかたまりです。
  3. 午後毛越寺、そして夏草毛越寺へ渡って、池を囲む浄土の庭を。それから北上川を見おろす高館へ。芭蕉が滅びた藤原氏を悼んで涙した場所です。遺跡全体は2011年にユネスコに登録されました。くわしい物語はガイドに。平泉・中尊寺

最北、つくり直された城、祭りの街

A giant illuminated Aomori Nebuta float of a fierce armored warrior brandishing a glowing blue sword, lit from within against the black night, filling the frame

いよいよ大動脈を上がって本州のいちばん北へ。ここで深い北は、ふたつの顔を見せます。弘前城は、この旅のどこよりも、つくられたことをその身にまとっています。東北じゅうでただひとつ残る現存天守でありながら、四世紀にわたってつくり直されてきた建物。焼け、1810年に幕府が許す控えめな櫓として小さくなって戻り、そして今まさに修理の真っ最中で、その小さな天守は、下の石垣を一石ずつ積み直すあいだ、まるごと石の土台からずらされています。桜は、城を失ったその家臣たち自身が植えたもので、りんご園から借りた剪定のこつで二重に花を密にしてあります。四月下旬には、この国でいちばん遅く、いちばん密な花のひとつになります。もうひとつの顔は青森ねぶた。柵の後ろから眺めるかわりに、なかへ踏み込む八月の祭りです。衣装をまとった跳人として、灯の入った巨大な山車のわきを跳ねていきます。どちらの顔を目当てに来ても、教えは変わりません。ここでは、あなたが覚えて帰るものはつくられたもので、そして今も直され続けているのです。

  1. 午前本州の最上部へ新幹線が北の新青森まで走り、そこから特急が一時間かからずに弘前へ届きます(ファクトボックスに)。ねぶたが目当てなら、青森市街は反対方向へほんの数分です。
  2. お昼どきつくり直され続ける城弘前城は、桜と堀の広い公園のなかに佇んでいます。天守は移動の途中で、内部は2030年代の初めまで閉まっています。だから、完成した塔を思い描いて着いたあなたは、もっと珍しいもの、直しそのものに出会います。四月下旬には西濠が花のトンネルになり、花びらが散ったあとは、水面に桃色の花いかだが流れます。くわしい物語はガイドに。弘前城
  3. 別の選択肢青森、そして飛び込む祭り八月上旬の旅なら、ねぶたのために青森を拠点に(山車の巡行は8月2〜6日の夜。ファクトボックスに)。跳人の衣装は誰でも借りられて、登録なしで踊りに加われます。一年を通しては、青森駅そばのねぶたの家 ワ・ラッセが本物の山車を何台か展示しています。(青森とねぶたにはまだ WMJS のガイドがないので、正直に名前だけ挙げておきます。この祭りについての声の記事が関連リンクにあります。)

湖、そしてその先へ

A wide elevated view of the deep-blue Lake Towada caldera from Mount Ohanabe, a forested peninsula and ringing hills mirrored in the calm water

フィナーレは、場所であると同時に、ひとつの季節です。青森から季節運行のバスが八甲田の峠を越え、奥入瀬渓流へ下ろしてくれます。滝と苔むした岩が続く流れを、水のそばの平らな遊歩道で歩けます。そしてその先の十和田湖へ。深く静かな火山のカルデラ湖です。十月の半ばから下旬に来れば、渓谷は京都より数週間早く色づきます。北にあって標高が高いからです。時期を外すと物足りない「大きな湖と静かな川」が、正しい月には色のトンネルへと変わります。(バスは一年の暖かい半分しか走りません。深い冬には渓谷は閉ざされ、東北の雪はかわりに、銀山と、山形の翼へ戻った蔵王の樹氷のものになります。) それから、旅はここで止まらなくてもいいのです。本州の最上部から南へ帰ることも、そのまま海の下をくぐって進むこともできます。

  1. 午前渓谷と湖へJR バス東北の季節運行の山バスが、青森から奥入瀬と十和田湖まで走ります。おおむね一年の暖かい半分、四月中旬から十一月上旬だけです(ファクトボックスに)。平らな川沿いの道で奥入瀬の流れをひと区間歩いてみてください。滝がひとつ、またひとつと続きます。
  2. 午後十和田湖十和田湖の魅力は、その静けさです。カルデラを渡る船、あるいは木々に囲まれた岸辺。秋には湖畔ぐるりが燃え立ちます。名所としてより、ひとつの季節として読んでください。色を見たいなら十月に。別の時期に来ているなら、この一日はかわりに祭りや雪へ折り込んでみてください。
  3. その先へ南へ帰るか、北へ海の下をくぐるかすっきりした出口がふたつ。新幹線で南へ、数時間で東京へ戻る。あるいは新青森から北海道新幹線で北へ、海底の青函トンネルを抜けて新函館北斗まで一時間ほど(ファクトボックスに)。北海道の旅への自然なバトンタッチで、日本を北から南へ、その長さのぶんだけ運んでくれます。

もう1日あるなら

+1日

東北は、日を足すほど応えてくれます。この地方は広く、唯一の敵は「急ぎたくなる誘惑」だけだからです。いくつか方向をあげておきます。どれも「正解」ではありません。

松島に、まるごと一日のんびりを。 仙台と組み合わせるかわりに、湾そのものに午前を。長めのクルーズ、福浦島へ渡る小さな赤い橋、四つの古典的な丘の眺め。俳人を黙らせた場所に、それが求めるだけの時間をあげてください。

山形の翼で冬を。 雪を目当てに来たなら、蔵王の樹氷を足してみてください。風に運ばれた雲が針葉樹を白い巨人へと固めたもので、山形の上のロープウェイで届き、夜にはライトアップされ、二月ごろがいちばん大きくなります。これもまた北がつくったものですが、ここでのつくり手は、殿さまでも俳人でもなく、天気そのものです。銀山の二泊目とも自然に組み合わせられます。

大祭のそろう週。 八月上旬、六つの県都が、それぞれの看板の祭りを数日のうちに開きます。青森のねぶた、秋田の竿燈、盛岡のさんさ踊り、仙台の七夕などです。いまは東北絆まつりとして正式にひとまとまりにされていて、2011年に、震災で失われた命を悼み、この地方の心を呼びさますために始まりました。お盆の旅行週に重なるので、列車も宿もずっと先まで埋まります。それでも北の祭りを渡り歩くことは、この土地をいちばん生き生きとした姿で見ることです。

さらに南へ、あるいはさらに芭蕉へ。 南東北には会津若松が加わります。1868年の内戦で、旧秩序の最後の大きな砦となった侍の城下町です(その鶴ヶ城は、日本では珍しい独特の赤い瓦をいただいています)。そして芭蕉を極めたい人は、おくのほそ道をさらに西へたどれます。最上川を舟で下り、出羽三山の修験の霊峰へ。俳人が日本海へと向きを変えた、その場所まで。

1日足りないなら

−1日

時間が足りないなら、やさしいのは南の半分を残して、最北は次に待ってもらうことです。仙台・松島に平泉を足せば、仙台ひとつの拠点から二日から三日のすっきりした旅になります。どちらも線を上がってひと足の距離で、山形の引き返しはいっさいなし。そしてこの旅のすべての考えが、そのまま小さく詰まっています。芭蕉を黙らせた湾と、彼に嘆きを与えた草。ひとつの対の、そのふたつの半分です。かわりに温泉に呼ばれているなら、仙台と松島に山寺と銀山の翼を組み合わせて、北は省いてしまいましょう。どちらの半分も、ちゃんとひとつの旅です。最北と湖は、また次の機会にとっておけます。全部を急ぐより、半分をゆっくり見てもらえたら、と私は思います。

ここから足をのばす

その先へ

東北は、日本を縦に貫く長い線の、ゆっくりした真ん中で、両端でつながっています。南では、仙台は東京から九十分ほどしか離れていないので、この地方まるごとが関東の旅にきれいにつながります。あるいは、季節とともに国を上がっていく、春の桜や夏祭りのルートに。北では、新幹線が北海道まで届いてから、新青森が津軽海峡の下をくぐって函館まで一時間ほどでつながるようになりました(ファクトボックスに)。だから、一度も引き返すことなく、そのまま北海道の旅へ乗り継げます。東北は、ようやくペースを落とす、より長い旅の一部として扱うのがいいと思います。北から南へ、急がない国の長さのぶんだけ。

知っておきたい、運賃と所要時間

東京 -> 仙台(東北新幹線)
東北新幹線、東京から仙台へ。いちばん速い はやぶさ で約1時間40分、全車指定です(自由席はないので席を予約してください)。やまびこ なら約2時間で、自由席の車両が残っています。片道でおよそ ¥11,000。ふつうの IC カードは「タッチでGo!新幹線」経由でのみ新幹線の自由席をカバーします。全車指定の はやぶさ には使えません。
仙台 -> 松島(二駅の落とし穴)
JR 仙石線で松島海岸へ(桟橋と見どころのそばの、湾のそばの駅です)。約40分、¥440、IC カードが使えます。東北本線の「松島」駅を目指さないように。あちらは内陸で、湾から徒歩約25分です。本塩釜から湾を渡るクルーズの選択肢もあります。
仙台 -> 山寺(JR 仙山線)
JR 仙山線で仙台から山寺へ直通、約1時間、¥910、おおむね一時間に一本です。線は山形へ向けて越えていき、連続した IC 対応の端に位置するので、念のため紙のきっぷを買っておいてください。
japan-guide 山寺確認時点: 2026-06
山寺 -> 銀山温泉(鉄道+ボンネットバス、現金のみ)
山寺から山形を経て大石田へ(山形新幹線 / 奥羽本線。時刻は公式プランナーで確認を)、そこからレトロな花笠「ボンネットバス」で谷を上がって銀山温泉へ。約40〜50分、およそ ¥720、一日およそ5便で季節運行です。現金のみで IC カードは使えず、小さなバスなのでピーク時は満員になります。(注意:村内の銀山荘のパーク&ライドのシャトルは別物で、車で来る人のためのものです。)
銀山 -> 平泉(引き返しを覚悟して)
山形の翼から北の大動脈へ、すっきり横断できる路線はありません。東北新幹線まで折り返して下り(福島経由か、仙台まで戻って)、北の一ノ関まで乗り、そこから JR のローカル線で約8分の平泉へ。その日のいちばんよい道は JR East / JNTO のルートプランナーに選ばせて、移動の多い一午前として受けとめてください。
平泉巡回バス(るんるん)
平泉「るんるん」巡回バスが、駅、毛越寺、中尊寺、高館を結びます。おもにシーズン中の土日祝に走ります(2026年のシーズンはおおむね4月11日から11月29日)。一回およそ ¥150、一日券は ¥450 です。出かける前に、その日ごとの運行を公式ページで確認してください。
平泉観光協会(公式)確認時点: 2026-06
仙台/平泉 -> 新青森、新青森 -> 弘前
東北新幹線 はやぶさ、仙台から新青森まで約1時間20〜30分(平泉に近い一ノ関は途中の新幹線停車駅です)。新青森からは特急つがるが約26分で弘前へ。青森市街は反対方向へ約5分で、青森駅のすぐそばに ねぶたの家 ワ・ラッセ があります。はやぶさ は全車指定です。
青森ねぶた祭
毎年8月2〜7日に開かれます。灯の入った山車は8月2〜6日の夜に青森を巡行し、8月7日は昼の巡行のあと、夕方に青森港で山車が水上を進む海上運行と花火があります。跳人の衣装は誰でも借りられて、登録は不要です。駅そばのワ・ラッセ博物館では、一年を通して本物の山車を見られます。
弘前の桜(四月下旬)
弘前公園には約52品種、およそ2,600本の桜、西濠の花のトンネル、そして盛りのあとには堀に浮かぶ花いかだがあります。2026年の祭りの期間はおおむね4月10日から5月5日。開花そのものは予想で、ふつうは四月下旬に最北の盛りを迎えます。桜前線が日本でいちばん遅く届く場所のひとつです。城の天守の内部は修理のあいだ閉まっています。
十和田湖 / 奥入瀬渓流(季節運行のバスと紅葉)
JR バス東北の「みずうみ号」が、青森から八甲田の温泉を経て奥入瀬渓流を下り、十和田湖(休屋)まで走ります。約2.5〜3時間、おおむね4月中旬から11月上旬のみで、深い冬には通し運行が休止されます。紅葉の盛りは十月の半ばから下旬で、京都より数週間早いです。JR パス系はこのバスで有効です。運賃と便は運行会社の時刻表で確認してください。
蔵王の樹氷、冬の追加
山形市の上の蔵王温泉では、風に運ばれた過冷却の雲と雪が針葉樹を「樹氷」に包み、蔵王ロープウェイで届きます。十二月から二月に見られ、二月ごろがいちばん大きく、夜のライトアップはおおむね十二月下旬から三月上旬まで続きます。天気しだいの眺めなので、確実な一日を狙うより、時期の窓を狙って行ってください。
東北での IC カードと地域レールパス
IC カード(Suica など)は東北の別々の区域でしか使えず(仙台のまわりと最北の一部)、離れた二つの区域をまたいでタッチすることはできないので、山あいの境を越えるには紙のきっぷが要ります。山形の翼のバスは現金のみです。これだけ長いルートには地域レールパスが割に合うこともありますが、以前の東北エリアのパスは2026年初めにつくり直されました。古い数字を信じるより、公式ページで今の JR East Pass の値段を確かめてください。
新青森 -> 新函館北斗(北海道へのバトンタッチ)
北海道新幹線が新青森から北へ、海底の青函トンネルを抜けて新函館北斗まで約一時間で走ります(全車指定の はやぶさ)。そこから 函館ライナー が約15〜20分で函館へつなぎます。北海道の旅への自然な陸路のバトンタッチです。南は、東京から新青森まで約3.5時間です。

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出かける前に歩きながら

弘前城 ― 小さくなって戻ってきた天守と、旧家臣たちが植えた桜

北日本でただ一つの現存天守、弘前城。1611年に建てた五層天守を1627年の落雷で失い、1810年に三階櫓として小さく建て直した城です。1882年に旧家臣が桜を植え、りんご農法の剪定で2,600本・52種が育ちました。2015年に天守を曳家で78メートル動かし、石垣(2,185個)を積み直す世代に一度の大修理は2026年も進行中。花筏、岩木山、桜まつり(2026年4月10日〜5月5日)、入園料320円や行き方まで、つくり直され続けるお城のやさしい歩き方をご案内します。

Hirosaki Castle

ほかのプランと組み合わせる

東京とその周辺、ゆったり過ごす数日

首都と、その日帰り旅 — 古い町の東京、海辺の鎌倉、山の日光 — を、心地よいペースで

北海道、ゆったりの数日間

日本のフロンティア、北の大地。札幌と小樽、ラベンダーの丘か雪か、湯けむりの温泉の谷、そして函館。急がない、季節に導かれるペースで

桜、その満開に合わせて時期を選ぶ旅

桜が導く、東京から京都へのゴールデンルート。そして、地元の人がするように動く前線を読む方法。予約できない日付が、旅のいちばんの見どころに変わります

日本の夏、祭りと花火の旅

祭りの暦に合わせた旅。京都の祇園から、大阪の花火の川へ、そして8月の踊る街々へ。日本の夏を愛する人たちが読むように読んでみましょう。暑さは旅の代償ではなく、祭りが輝く理由であり、祭りそのものは、眺めるショーではなく、開け放たれた扉なのです

冬の日本、雪、温泉、そして光

東京のいちばん澄んだ空気から雪国へ、そして京都の静けさへと下る、西向きの一本の線。日本の冬を愛する人たちが読むように読んでみてください。ここでは寒さが旅の代償ではなく、この季節ぜんぶが奏でられる楽器なんです

北か南か — 涼やかで緑深い北、それとも火山の温かな南?

旅の追加として、あるいは2度目の旅として。日本の両端をめぐる、正直な選びかた。季節がすでにどちらを指しているか、そしてそれぞれの先に何が待っているかをご案内します。